実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ(第20回)真摯さを貫く編 失った信用を挽回するための哲学

経営全般

2017.07.05

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 実例からドラッカーのマネジメントを学ぶ連載。今回は、真摯さを貫くことの本当の意味を問い掛けるケーススタディーです。果敢な営業を行った結果、待っていたのは顧客からの信用失墜。失地挽回を狙う工務店が決断した手法とは?その決断に込められた思いとは?

「商人とその顧客、自由業者とその顧客の間に必要とされているものは、仕事上の真摯さにすぎない。しかし経営管理者であるということは、親であり教師であるということに近い。そのような場合、仕事上の真摯さだけでは十分ではない。人間としての真摯さこそ、決定的に重要である」
(『現代の経営[下]』)

<解説>顧客に向ける真摯な態度、それも確かに重要である。ドラッカーは、プロたる者は「知りながら害をなすな」と、著書『マネジメント』で説く。自社の工事に欠陥を見つけた工務店が、顧客が気付かなくてもやり直すといったことは「仕事上の真摯さ」の一例だ。

 しかし経営管理者、すなわちマネージャーの持つべき真摯さはこれと異なる。親であり教師であれと、ドラッカーは説く。部下の人生に関わる存在であれということだ。真摯さのない者をマネージャーにすれば、部下の成長を阻害し、やがて人と組織を破壊する。

 今回の都田建設の物語でカギを握る創業者は、後者の意味においても真摯だった。その真摯さは、次世代に伝わった。

 創業者の後を継いだ蓬台(ほうだい)氏も、真摯さをもって社員と顧客に向き合った。そこから生まれたポリシーが「自社が建てた住宅にトラブルがあれば必ず、1時間19分以内に駆け付ける」。その姿勢が顧客の支持を得て、会社は発展した。逆にトップマネジメントの真摯さが途切れれば、組織は終わる。(ドラッカー学会理事=佐藤 等)

蓬台社長。小さな工務店だった都田建設で1人、積極果敢な営業をまい進。しかし、それが思わぬ事態を招き……

ドラッカーに学んだ先輩企業(14)「都田建設」

 2003年元日、都田建設(静岡県浜松市)に、1本の電話がかかってきた。

 「これは、どういうことですか」

 戸建て住宅を建設中の現場で、施主が青ざめて立ちすくんでいた。駆け付けた社長と担当の社員2人はがくぜんとした。進捗中の工事は、素人目にも分かるほど粗雑だった。

 「この家を燃やしてほしい」。施主の一言に打ちのめされた。

「お客さまを守る」には?…

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佐藤 等佐藤等公認会計士事務所

佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。

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