実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ(第25回)負けグセの変え方 弱小支店で学んだチーム力

経営全般

2017.12.06

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 キリンビールからアサヒビールへ。ビール業界の激しいシェア争いは2001年にアサヒビールが王座を奪い、キリンビールは2009年に再度トップに返り咲いた。劣勢にあったキリンビールの反転攻勢に活躍したのが田村潤氏だ。そんな田村氏は「戦い方はすべて高知支店で学んだ」と語る。

 そこで前回に引き続き、本連載を監修するドラッカー学会理事の佐藤等氏が、田村氏の高知支店での奮闘をドラッカーの名言で解説する。

ポイント4■行動への転化
行動を伴わない戦略は、絵に描いた餅です。ドラッカー教授は「いかなる知識といえども行動に転化しないかぎり無用の存在である」(「経営者の条件」)と強調します。さらに戦略の遂行においては、行動の量がカギを握り、習慣化が不可欠です。田村氏は粘り強いメンバーへの働きかけで、このハードルをクリアしました。

 田村氏は、営業社員がこれまで料飲店をどのくらい訪問していたかを調べた。月に30~50件。高知県には当時、料飲店が約2000店あったので、全く足りない。「営業社員は全員、現場リーダーの課長と相談して、料飲店の訪問件数の目標を立ててください」。

 こう号令した直後、逆風が吹いた。96年初頭、スーパードライの勢いに危機感を抱いたキリンビールは、看板商品の「キリンラガービール」の味を変えた。これが大失敗。新規顧客を取り込めず、固定ファンの支持を失った。高知支店の成績も見る見る悪化した。

 そして4月、支店の数字を洗い出した田村氏は激怒した。部下を集め、初めて本気で叱った。結果の数字が悪かったからではない。行動目標である訪問件数をクリアしていなかったからだ。「約束したことをやり切らずに、なぜ平気で家に帰れるのですか」

 これを機に、支店の空気が変わった。「少なくとも、できないことを本社のせいにするのはやめる合意ができた」(田村氏)という。課長と営業社員が個別に目標の達成状況を確認し、達成できていないときは、どうしたらできるかを膝詰めで議論するようになった。

 9人の営業社員で高知に約2000店ある料飲店すべてを1カ月で回るには、1人200件以上を訪問する必要があり、実際にそんな目標を掲げた若手もいた。実際にできるか、本人も半信半疑だったが、4カ月続けると、不思議と苦もなく回り切れるようになった。「よく来るね」という得意先の声に励まされ、営業を楽しみ、工夫する姿勢が出てきた。

 しかし、アサヒビールの猛攻は止まらない。健闘むなしく、96年9月、とうとう高知県でのトップシェアの座を奪われた。

田村氏のノート。心に残った言葉をメモして、読み返す習慣がある

ポイント5■顧客の買うもの
顧客視点に立つ重要性は誰もが認めるところです。ドラッカーはこう指摘します。「企業が売っていると考えているものを顧客が買っていることは稀である」(「創造する経営者」)。ビールの顧客は何を買っているのか。この問いに今までにない答えを出したことで、田村氏の反転攻勢が本格化します。

ビールは情報で飲まれている。味だけじゃない…

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