ビジネスWi-Fiで会社改造(第8回)
Wi-Fiで売り上げを増やそう―売り上げアップ作戦
2022.03.16
宮城県にある工務店「あいホーム」は、従来の住宅業界のやり方にとらわれずに多彩なデジタルツールを業務に活用しています。代表取締役 伊藤謙氏にDXのコツを聞きました。
<目次>
・コロナ禍でも業績UPに貢献「バーチャル展示場」とは
・新卒採用の切り札は「インスタ」
・震災復興時の成功体験が原点
・新しいツールはどんどん試すべき。ただ正式導入は慎重に
・DX導入が結果を生む土壌はできている
「株式会社あいホーム」という会社を知っている人は、あまり多くないかもしれません。同社は仙台市の北に隣接する宮城県富谷市に本社を構える、従業員70名ほどの中小企業の工務店です。
同社の2020年上半期の新規受注数は、コロナ禍ながら対前年比130%を達成。以降も業績を伸ばし続けているといいます。
同社の業績アップを後押ししたのは「DX」、つまりデジタル技術の活用です。コロナ禍によって住宅着工が落ち込む中、同社はさまざまなデジタルツールを活用し、非対面のコミュニケーションに注力したといいます。
代表的な取り組みの1つが、VRによる「バーチャル展示場」です。
住宅業界では“展示場に実際に足を運んで家を見てもらう”というのが当たり前ですが、同社はコロナ禍で展示場に足を運びづらい顧客のために、実際の展示場を再現したバーチャル空間をスマートフォンで自由に見学できるようにしました。バーチャル展示場には、毎日数十人がコンスタントに訪れているといいます。
同社代表取締役社長の伊藤謙氏は、バーチャル展示場について「業績に直結する、効果的な取り組み」と胸を張ります。
「バーチャル展示場を作った当初は、リアルの展示場を見学していただいたお客さまに対し、帰宅後に振り返っていただくことを想定していました。しかしリリース後は、先にバーチャル展示場を体験してから、気になった住宅を実際に見学するという、逆のニーズも増えてきています。今ではバーチャル展示場のWebサイトから、リアル展示場の見学予約ができる機能も持たせています」(伊藤氏)
株式会社あいホーム
代表取締役
伊藤 謙氏
同社のデジタルツールの活用は、バーチャル展示場だけではありません。SNSサービスの1つである「Instagram」を活用した新卒採用もスタートさせました。
この取り組みを行った背景も、コロナ禍にあります。合同企業説明会が軒並み中止となる中、「就活生はどのようにして就職活動をしているのだろう」と疑問を抱いた伊藤氏は、学生にヒアリングを実施。その結果、就活生の多くは、情報収集にはスマートフォンを使い、SNSはInstagramをメインで使用していることが判明したといいます。
「それを聞いて、新卒採用にInstagramが使えないかと思い、インスタライブ(Instagram内からリアルタイムのライブ動画を配信できる機能)を始めました」(伊藤氏)
インスタライブには伊藤氏自らが登場し、エントリーシートの書き方や、企業の選び方を毎日10分程度配信しました。フォロワーが増えてきたところで、インスタライブにて会社説明会を開催したところ約100人が集まり、うち半数があいホームにエントリーシートを提出したといいます。
「面接もInstagramで行い、7人に内定を出しました。その7人は辞退することなく入社しており、現在も弊社で活躍してくれています。2021年度も同じようにInstagramによる採用活動を実施し、新人を採用しています。費用を掛けずに、優秀な人材を採用できたことに、私自身も正直に言って驚いています」(伊藤氏)
伊藤 謙(いとう けん)
2020年5月に先代社長の実父より代表権を引き継ぎ、あいホームの新社長に就任。最新のIT機器やシステムを積極活用し、固定概念を壊しながら、住宅業界のアップデートを推進している。著書に『地域No.1工務店の圧倒的に実践する経営~DXで生産性最大化、少数精鋭で高収益!~』(日本実業出版社)がある。
ニューノーマル処方箋
2022年3月7日(月)~2023年3月31日(金)
法改正関連
2023年導入予定のインボイス制度の対応の準備はできていますか。インボイス制度は、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として導入されます。仕入額控除の要件として、適格請求書発行事業者が発行する「適格請求書」の保存が必要となります。本セミナーではPwC税理士法人 村上 高士氏をお招きし、課税事業者の皆さまの立場で、インボイス制度導入後に何が変わり、どのような影響があるのかを解説します。
2022年2月4日(金)~2023年3月31日(金)
法改正関連
2022年4月1日より、施行される改正個人情報保護法。同法では、法人に対するペナルティの厳罰化や、個人情報漏えい時の報告・通知義務などが追加され、企業はより厳格に個人情報を扱う必要に迫られています。では、企業は具体的にどのような対策をとればいいでしょうか?本ウェビナーでは、改正個人情報保護法の改正のポイントやその際に生じうる課題、そして企業が取り組むべき対策についてご紹介します。