人気会計士が語る、小さな会社の経営“これだけ”(第12回)借りたお金はゆっくり返せ

資金・経費

2019.10.04

  • PDF PDF
  • ボタンをクリックすることで、Myクリップ一覧ページに追加・削除できます。追加した記事は、「Myクリップ」メニューからいつでも読むことができます。なお、ご利用にはBiz Clipに会員登録(無料)してログインする必要があります。

 顧問先2200社を抱える会計事務所を率いる公認会計士、古田土満氏が語る小さな企業経営のコツ。その第12回は、会社の借金に関する考え方です。古田土氏は、日本の中小企業は、実力以上の投資や借金をしているケースが多いと分析しています。だからこそ、借金を減らすことが重要だと解説します。

ちょっと業績が上向くと、新たな借り入れをすることの愚

 大学生のうち、2人に1人は奨学金制度を利用しているそうです。1人当たりの借入金は、少ない人で300万円、多い人で800万円くらいといいます。大学を卒業し就職してから返済するのですが、全然返済していない人が利用者のうち3割いることが問題になっています。

 奨学金の返済は月々1万~3万円とそんなに多くはありませんが、就職できなかったり、アルバイトで生活していたりする人は、返済は不可能なのでしょう。奨学金の返済は、月々の返済額が少額で長期にわたるのと、厳しい取り立てがないので、自己破産をしたり、借金苦で自殺したりすることもありません。少しずつゆっくり返せばよいと思います。

 では、会社の借金はどうすればいいでしょうか?会社の場合も利益を出し、少額ずつでも返済できれば、新たな借金をしなくても会社は存続でき、雇用は守れます。借金が返せないとき、私たちはリ・スケジュール(リスケ)をやっていました。リスケをしなければならないのは、月々の返済額が多過ぎるからです。

 借入金の返済原資は長期的には、税引き後利益+減価償却費なのですが、全企業の67.9%が赤字なのですから、原資となるべき利益がありません。返済原資が稼げない企業が多い半面、銀行の借入金総額を年間返済額で割ると3~5年くらいです。すなわち、10億円借金している会社なら、年間2~3億円を返す約定になっています。それにもかかわらず、ちょっと業績が上向くと、新たな借り入れをする会社が多いことに驚きます。

 借入金の本質は、利益の前倒しです。中小企業が社員とその家族のために生き残るには絶対に利益を出し、利益と貸借対照表を改善してお金をつくることです。貸借対照表の改善だけでも借金は返せますが、利益の出せない企業に銀行は融資しないし、会社は長く持ちません。

 これからは借金をまったく返済しないのではなく、利益の中から少しずつ返済していき、利益の額を増やして返済額も増やしていくべきです。もちろん、新たな借り入れはしません。

赤字会社の社長は質素な生活で固定費を減らす…

続きを読むにはログインが必要です

会員登録3つのメリット!!

  • 最新記事をメールでお知らせ!
  • すべての記事を最後まで読める!
  • ビジネステンプレートを無料ダウンロード!

執筆=古田土 満

法政大学を卒業後、公認会計士試験に合格。監査法人にて会計監査を経験して、1983年に古田土公認会計士・税理士事務所を設立。財務分析、市場分析、資金繰りに至るまで、徹底した分析ツールによって企業の体質改善を実現。中小企業経営者の信頼を得る。

「資金・経費」人気記事ランキング

AIによるおすすめ記事

他の方はこんな記事も見ています

連載バックナンバー

人気会計士が語る、小さな会社の経営“これだけ”

オンラインセミナー動画

配信日時

2022年6月24日(金)13時30分-15時00分(予定)

業務効率化関連

日本企業におけるDXの活用、推進による課題解決について

これからの経営の重要なキーワードとなっているDX(デジタルトランスフォーメーション)。
デジタル技術の急速な発展・SDGs等の社会環境変化や市場の競争環境変化により、企業はデジタルを活用した事業や業務の変革が迫られています。
本セミナーでは、「DX」の概念の理解に加え、事例等を通じ、具体的イメージをご紹介しながらDX推進のためのポイントをお伝えすると共に、すぐにできるDXをご紹介します。
ぜひこの機会にご参加ください。

配信期間

2022年6月3日(土)~2023年3月31日(金)

業務効率化関連

企業のDX化と「攻め」のオペレーションへの転換

DXという言葉はすっかりバズワードとなり、今やすべての企業にとってデジタル化は必須となっています。
しかし、DXの捉え方は会社によってさまざまで、「とりあえずデジタル」のような取り組みをDXと位置付けているケースもございます。
本セミナーでは、まず第一部で企業におけるDXの定義とDX活動を着実に前進させるポイントについてご説明し、第二部ではDX活動の第一歩として「おまかせAI-OCR」を活用したオペレーション改革について、具体例を交えながらご紹介します。