人気会計士が語る、小さな会社の経営“これだけ”(第32回)経営理念と会社の仕事を一致させる

資金・経費

2021.06.04

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 顧問先2200社を抱える会計事務所を率いる公認会計士、古田土満氏が語る小さな企業の経営のコツ。経営理念についての説明の第2回目になります。経営理念はあればいいというものではなく、浸透させることが重要になります。そのために1日に何度も何十回も使うようにすることを勧めています。

 法政大学の坂本光司教授は、2010年に「経営理念」を研究テーマにされたことがあります。調査の結果、「経営理念がある」と回答した企業は86%と多かったのですが、経営理念が浸透している企業はほとんどないというのが結論でした。

 経営理念にまつわる有名な話があります。パナソニックが松下電器産業といわれていた当時、副社長の高橋荒太郎さんが労働組合から頼まれて講演をしました。そのときの講演テーマが「松下電器の経営理念について」だったそうです。

 労働組合の委員長が、高橋さんに言いました。

 「その話は耳にタコができるくらい聞いた。たまには違う話をしてくれ」と。

 そうしたら高橋さんは、「俺だって同じ話を何度もしたくない。頼むから経営理念を実践してくれ」と言ったそうです。経営理念を全社員に浸透させるのがいかに大変なことか、よく分かるエピソードです。

経営理念、方針に従った商品、サービスを提供する

 経営理念を浸透させる方法の中で、私が一番効果的と思っているのは、前述した通り、経営計画書を作ることです。ここでいう経営計画書とは、経営方針書のことです。数字のみの経営計画書のことではありません。

 経営理念の浸透は社長が自らの手で行うべきものですから、社員を社外の研修に出して身に付けさせるようなものではないと思っています。社長が経営計画書という道具を使って浸透させるのが、一番の早道ではないでしょうか。

 多くの会社で、経営理念はあっても「絵に描いた餅」になっています。まず、経営計画書を作っていません。経営計画書を作っている会社でも、運用されていません。ですから、経営理念を浸透させるのがいかに大変なことか分かります。経営理念を浸透させるためにやるべきことは、まず経営計画書を作り、社員に対して発表会を行い、経営理念、経営方針を文書化することです。

 そして理念、方針に従った商品、サービスを提供します。

 「会社はこういう理念、目的のために存在する」と社員に言いながら、会社で不動産や株式に投資をしていたら、社員には理念の浸透はしづらいと思います。言っていることと、やっていることをできるだけ一致させることです。

分かりやすい言葉を繰り返し、潜在意識に固定する…

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執筆=古田土 満

法政大学を卒業後、公認会計士試験に合格。監査法人にて会計監査を経験して、1983年に古田土公認会計士・税理士事務所を設立。財務分析、市場分析、資金繰りに至るまで、徹底した分析ツールによって企業の体質改善を実現。中小企業経営者の信頼を得る。

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