注目を集める地方発のベンチャー(第14回)起業で成功するには、ビジョン、数字、政治力

地域活性化

2017.05.08

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早稲田大学ビジネススクール 入山章栄准教授

 “起業大国”の米国でニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授を務め、「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」などの著書もある入山章栄氏。早稲田大学ビジネススクールで経営学を教える准教授でもある。日本の起業シーンを活性化させるための手法を経営学の視点から評価し、米国との比較を盛り込みながら解説する。(聞き手は、トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)

「個人のミッションは考えさせない」のが日本企業

入山:ある大手企業の人事担当の人と話したとき、おっしゃっていたのが「人材育成において、個人的なミッションやビジョンというものは、あまり考えさせないようにしている」ということでした(笑)。あくまで会社の思想だけを刷り込むのだ、と。なのに、50歳くらいで「この人、そろそろ辞めてもらおうかな」となったときに、いきなり「おい、おまえ、人生のビジョンは何だ」とか言うから、みんな混乱する。(笑)

斎藤:今、大企業の社員を対象に、個人的なやりがいをいかに見つけるかをノウハウ化した「原体験ワークショップ」というのをやっているんです。自分の今までの人生を棚卸しすると大体、一番つらかったときと絶好調なときに価値観のベースとなる体験がある。それを基に、自分の人生のミッションを会社の仕事の方向性とどうすり合わせるかということを考えてもらうものです。

入山:マネジメント側にとってもメリットのある研修ですよね。ある大手企業では、ベンチャー企業に社員を派遣したら、理念に共感した人たちが「大企業で働いている場合じゃない」とバンバン辞めてしまったという話を聞きました(笑)。こうした人材の流出を防ぐことにもなるわけですから。

斎藤:「自分のミッションは、会社を利用したほうが実現しやすいんだ」という考えに持っていくのが、マネジメントのポイントですよね。「小さくても自分で事業をやりたい」とか「自分の手でお金をもうけたい」となると、辞めて起業する方向に向かってしまう。でも、「世の中にインパクトを与えたい」「個人ではできないような大きな仕事をしたい」となれば辞めないし、続けているうちに共感する人も増えてくる。時間がかかっても形になる可能性が高いですから。

入山:大企業にいてほしい人材の条件に「巻き込み力があること」とおっしゃっていましたが、具体的にどういう人でしょうか?

斎藤:ビジョン、数字、政治力の3つを兼ね備えている人です。気持ちの面で共感できるストーリーを生み出せること。頭で理解できる戦略をロジカルに語れること。そして、打算でも参加したほうが得をすると思わせるプラットフォームを構築できることが大切ですね。

 物事が好転する前って、一時的に後退したり悪化したように見えたりするじゃないですか。新規事業を軌道に乗せるまでも同じで、いわゆる「Jカーブ」の底を乗り越えるとき、協力者を募って反対勢力を説得するためにこの3つが必要なんです。底の段階ではもうけるよりも、寝技を使ってでも潰されないことが大事。今までの日本企業が一番弱いところだと思います。

「Morning Pitch」の登壇者は75%が大企業の出身者…

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斎藤 祐馬

トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

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