ロングセラー商品に学ぶ、ビジネスの勘所(第41回)伝統の味を現代の生活に適合させた、味の素の「ほんだし」

スキルアップ 雑学

2022.04.26

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 煮物、鍋、みそ汁など、和風料理の味付けに「だし(出汁)」は欠かせません。しかし、かつお節や昆布などを煮てだしを取るのは手間がかかるもの。そこで活躍するのが、手軽にだしの風味を出すことができる和風だしの素です。和風だしの素の定番が、味の素の「ほんだし」。1970年に発売されて以来、日本の食卓に和の味を提供し続けているロングセラーです。

 味の素の創業は、1909年。昆布だしの味の成分がグルタミン酸というアミノ酸の一種であることを発見した東京帝国大学理学部化学科の教授・池田菊苗博士の研究を元に、うま味調味料「味の素」を開発・発売したのが事業の始まりです。

 調理の下ごしらえから仕上げまで幅広く使え、手軽に料理をおいしくする味の素は、広く日本の家庭で使われるようになりました。

 そして1960年には調味塩の「アジシオ」、1962年には複合調味料の「ハイ・ミー」を発売。アメリカのケロッグ社との提携により「ケロッグコーンフレーク」を、ドイツのクノール社との提携により「クノールスープ」を世に出した後、新たな自社開発の製品として考えられたのが和風だしの調味料でした。

 当時、日本は高度経済成長期の真っただ中。さまざまな業種で労働者が不足し、主婦がパートタイマーとしてその不足分を埋めるなど、女性が社会進出する機会が増えていました。それは同時に、当時の日本社会においてほとんどの家事を担っていた女性の家事にかけられる時間が短くなることを意味しています。

 それまで、料理で使うだしは各家庭で取っていました。しかし、だしを取るには手間も時間もかかります。そこで、手軽に和風だしの味が出せる調味料の需要が生まれていました。

 需要は見込まれるものの、和風だしの調味料はすでに他社がかつお節の粉末を使ったものを発売していました。だしの種類としてはかつおだしが汎用性は高いものの、新たな商品として出すには差別化が必要です。

 差別化のためにこだわったのは、まず味でした。かつお節を作るには、水揚げされたかつおを煮た後、煙で燻(いぶ)して乾かす焙乾(ばいかん)という工程を経ます。焙乾することにより水分が飛んで硬くなり、かつおのうま味が凝縮されます。また、煙の香りが移って独特の風味が生まれます。味の素は、使用するかつおを厳選するのはもちろん、まきの種類、燻(いぶ)し方を研究し、風味高い独自のかつお節を作ることに成功しました。

社内ネットワークがカギとなった「顆粒(かりゅう)化」の技術…

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執筆=山本 貴也

出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。

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