ロングセラー商品に学ぶ、ビジネスの勘所(第11回)細かな工夫の大切さを教えるぺんてるのサインペン

オフィス用品 スキルアップ

2019.10.15

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 私たちは水性のペンのことを「サインペン」と呼んでしまうことがあります。しかし、「サインペン」は一般的な名称ではなく、商品名です。「サインペン」は、ぺんてるが1963年に発売を開始し、累計で20億本以上を売り上げているロングセラー筆記具です。

 ぺんてるの前身である大日本文具の創業は、1946年。文具の卸売りから事業を始め、クレヨンなど絵画用の画材の製造に事業を拡大。そして1960年にはノックシャープペンシル「ぺんてる鉛筆」、油性ペン「ぺんてるペン」を発売し、筆記具の市場に参入します。

 太い字しか書くことができなかった従来の油性ペンとは異なり、細い字が書ける「ぺんてるペン」は好評を得ましたが、少し使いにくいところもありました。プラスチックなどに書くぶんには問題がありませんが、紙に書くとインクがにじみ、文字が読みにくくなってしまうことがあったのです。ハガキの宛名書きをした際には、裏までインクが染み通ってしまい、裏面に文字が書けなくなることもありました。

 油性インクを使っている限り、こうした問題の解決は困難だと考えたぺんてるは、水性インクを使ったペンの開発をスタートさせます。ただ、求められる構造が油性ペンとは異なり、開発は難航しました。

 ぺんてるでは、アクリル繊維を熱で固め、筆の形に削ってペン先を作っていました。細い字も書けるようにするためペン先にはある硬度が必要です。しかし、硬度を上げ過ぎると油性インクは流れず、字が書けなくなってしまいます。逆にペン先の硬度を下げ過ぎると、粘度が低い水性インクは出過ぎてしまいます。高い硬度を保ちつつ、適度にインクが出るようにしなければならなかったのです。

 そこで開発スタッフは、アクリル繊維の間に細かな隙間ができるようにして、硬く固めたペン先に毛細管現象でインクが流れるようにしました。インクの粘度も、ペン先の硬度と構造に合わせ、適度に流れるように細かな調整を繰り返しました。こうした開発は8年にもわたり、ようやく1963年に世界初の携帯用水性ペン「ぺんてるサインペン」を発売しました。

後発商品との競争に負けなかった工夫の数々…

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執筆=山本 貴也

出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。

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