オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2020.11.18
デジタル化の推進、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワーク導入の増加で“脱ハンコ”の流れが生まれています。それを加速するように、河野太郎行政改革担当相が「9割以上の行政手続きでハンコの使用を廃止できる」と述べ、ハンコをめぐる論議がますます盛んになっています。
逆にいえば、国の政策として真剣に取り組まねばならないほど、日本人の生活にハンコは深く浸透しています。もちろん、ビジネスシーンにおいても重要な役割を果たしてきました。そして、ビジネスパーソンに親しまれているハンコといえば、1965年に発売が開始されたシヤチハタの「Xスタンパー」、通称“シヤチハタ印”です。ビジネスパーソンの机の中、カバンの中には必ず1本は入っているのではないでしょうか。
シヤチハタの前身である舟橋商会は1925年に名古屋で創業しました。創業者は舟橋高次とその兄金造です。高次は元々薬問屋で働いていました。薬問屋の仕事では、1日に何度も薬袋にスタンプを押します。しかし、その頃のスタンプ台はインキがすぐに蒸発してしまい、使うたびにインキをスタンプ台に染み込ませなければなりませんでした。
これでは不便だ、いちいちインキを染み込ませなくても使えるスタンプ台ができないものか──。こう考えた高次は、試作に取り掛かります。
そして試行錯誤を繰り返した末、空気中の水分を吸収するグリセリンを使い、インキが乾かないスタンプ台を開発。舟橋商会を設立し、「萬年スタンプ台」の販売を開始しました。シンボルマークは、地元名古屋の名古屋城天守に飾られた金の鯱(しゃちほこ)にちなみ、鯱の旗としました。
インキを補充せずに続けて押印できる萬年スタンプ台は、画期的な商品でした。また営業を担当した金造の努力もあり、萬年スタンプ台は徐々に浸透していきます。1941年には、シンボルマークの鯱の旗から社名を取り、舟橋商会をシヤチハタ工業に改組。戦後、シヤチハタはスタンプ台の代名詞的存在に成長します。
萬年スタンプ台はその利便性から多くのオフィスで使われ、シヤチハタ工業を支え続けました。しかし、高次の目は“もう一方の不便”に向くようになります。1950年代、日本が高度経済成長期を迎えると、企業の事務作業の量も飛躍的に多くなっていきました。事務職の社員は、1日に何枚もの書類に「重要」「済」「請求書在中」といったスタンプを押すことになります。萬年スタンプ台を使えば、いちいちスタンプ台にインキを補充する必要はありません。しかし、それでも、押印するためには1回1回スタンプをスタンプ台に押し付けインキを付ける必要はありますから、その手間すらも負担に感じられるようになっています。
これでは効率が悪い。スタンプ台が要らないスタンプを作れないものか──。再び、高次の試行錯誤が始まりました。
執筆=山本 貴也
出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。
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