ビジネスに生かす中国古典の言葉(第6回)部下が主体的に動く!存在感のないリーダーが理想

人材活用 歴史・名言

公開日:2015.11.06

  • PDF PDF
  • ボタンをクリックすることで、Myクリップ一覧ページに追加・削除できます。追加した記事は、「Myクリップ」メニューからいつでも読むことができます。なお、ご利用にはBiz Clipに会員登録(無料)してログインする必要があります。

太上たいじょうしもこれあるを知るのみ。その次は親しみてこれをむ。その次はこれをおそる。その下はこれをあなどる」(『老子』)

 今回は経営者のあり方について考えてみます。中国古典で『老子』と『荘子』などを総称して「老荘思想」と呼んでいます。老荘思想というと、白いあごひげを生やした老人が俗世間を離れ、大自然の中で悠然として生きるといったイメージをお持ちの方も多いと思います。

 しかし、実は現代ビジネスに役立つエッセンスが満載なのです。実際、米国の経営者の間ではリーダーシップの教本として読まれています。例えば、『老子』には、こんな理想のリーダー(君主=指導者、経営者)像が示されています。 

太上たいじょうしもこれあるを知るのみ。その次は親しみてこれをむ。その次はこれをおそる。その下はこれをあなどる」

(訳)最も理想的な君主は、人民はただ君主がいるということを知っているだけである。次によい君主は人民から親しまれ褒められる君主で、次は人民から恐れられる君主。最低なのは人民から侮られる君主だ。 

 なんと老子は、ただいることを知っているだけで、普段は存在すら意識されない、いわば空気のようなリーダーが最も理想的だと言うのです。

 リーダーシップということばがあるように、リーダーたるもの、先頭に立って部下を鼓舞しながら率いていかねばならない。あるいは進んでいく方向を指し示して導くべきだ。こんなふうに考えていませんか。でも老子が語る理想的なリーダー像は、そんな姿とはかけ離れています。

 こうしたリーダーを理想とするのは、老子は「無為自然」という考え方を大切にしているからです。「無為自然」とは「なんら作為をせず、あるがままの状態」です。注意が必要なのは、この「無為」は「なにもしないこと」ではなく「なんら作為(=わざとらしいこと)をしない」ことだということです。

 まだふに落ちない方がいるかもしれませんね。企業経営で考えてみましょう。例えば、起業したばかりの頃は業務のほとんどを経営者(リーダー)がやる場合がよくあります。社員が少ないうえ、一番業務に精通しているのは経営者だというケースも多いからです。でも、なんでも経営者がやっていると、ある程度の規模までしか企業は大きくなりません。徐々に社員に業務を任せていくことが必要になります。そう、権限委譲が必要です。

リーダーがいなくても部下が自律的に動く組織に…

続きを読むにはログインが必要です

\ かんたん入力で登録完了 /

会員登録3つのメリット!!

  • 最新記事をメールでお知らせ!
  • すべての記事を最後まで読める!
  • ビジネステンプレートを無料ダウンロード!

【T】

「人材活用」人気記事ランキング

連載バックナンバー

オンラインセミナー動画

  • 新着記事

配信期間

2024年11月28日(木)~2025年9月30日(火)

DX・業務効率化関連

【年末調整直前!】デジタル化による業務負担の軽減をめざそう

  • 新着記事

配信日時

2024年12月5日(木) 12時05分~12時50分

DX・業務効率化関連

「DX・ITツール活用の進め方」と対面コミュニケーションの両立