ニューノーマル処方箋(第21回)「幻の日本酒」が安定供給できた裏にデータ活用あり

IT・テクノロジー 時事潮流 デジタル化

公開日:2023.03.30

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 国内外で愛される日本酒「獺祭」ですが、誕生当初は多くの困難が待ち構えていました。しかし3代目蔵元の桜井博志氏は、デジタルの力を活用するなど改革を推し進めました。

旭酒造「獺祭」の製造工程

 

<目次>
・獺祭が生まれる前の旭酒造は、地元で4番手だった
・「幻の日本酒」を作るどころか、杜氏も蔵人も逃げ出した
・勘や経験はデータ化できる
・何でもデジタル化すれば良いというわけではない
・現状維持ではいけない。真面目にモノづくりに取り組むべし

獺祭が生まれる前の旭酒造は、地元で4番手だった

 「獺祭(だっさい)」といえば、山口県岩国市に拠点を構える旭酒造株式会社が製造する、日本酒の代表的な銘柄のひとつです。その評判は日本国内にはとどまらず、フランスで開催されている日本酒コンクール「Kura Master」では、同コンクールが始まった2017年から4年連続で金賞に輝いています。

 旭酒造は古くからから酒造りを行ってきた、歴史と伝統のある酒造メーカーです。しかし、3代目の蔵元である桜井博志氏が会社を引き継いだ1984年当時は、まだ獺祭も生まれておらず、売上高も1億円に満たない、地元でも4番手程度の小さな造り酒屋だったといいます。

 桜井氏は低迷する旭酒造の売り上げを挽回するために、当時市場に出回っていなかった「純米大吟醸」の日本酒を作ることを決意しました。

 純米大吟醸は、原材料を白米、米こうじ、水のみとし、さらに米の精米歩合(精米して残った米の割合)は50%以下とし、低温でゆっくりと発酵させる「吟醸造り」を採用するなど、通常の日本酒よりも製法の条件が厳しい反面、香り高さと濃厚な味わいが特徴です。

 「1960年ごろ、日本酒はとても高価なものでした。職人の日当で、2級酒の一升瓶が1本買えるかどうか、というほどでした。ところが、私が酒蔵の社長になった1984年には、日本経済が発展したこともあり、職人の日当で20~30本も買える時代になっていました。

 こうした時代に、これからの日本酒、ひいては私たちの酒造りはどうあるべきかを熟考した結果、『酔わせることではなく、味わい、楽しんでもらえるお酒を造りたい』という考えに至り、新たな純米大吟醸酒を作ることに挑戦しました。このコンセプトで生まれたのが、獺祭です」(桜井氏)

「幻の日本酒」を作るどころか、杜氏も蔵人も逃げ出した…

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