「我は専らにして一となり、敵は分かれて十とならば、これ十をもってその一を攻むるなり」(『孫子』)
「孫子の兵法」という言葉をご存じの方も多いことと思います。『孫子』とは中国古典の兵法書で、ビジネスにも応用できる内容が詰まっています。
古今東西、戦いにおいて兵士や兵器など物量で相手を圧倒することが、勝利を手にする最も確実な方法でした。現代のビジネスでも、人材が豊富で資金力に優れる大企業が市場で高いシェアを握り、多くの利益を得ているケースは珍しくありません。
しかし、戦力の大きいものが必ず勝つわけではありません。戦力差があっても逆転に持ち込み勝利する戦略があるのです。「孫子」にこんな言葉があります。
「我は専らにして一となり、敵は分かれて十とならば、これ十をもってその一を攻むるなり。すなわち、我は衆くして、敵は寡なし」
(訳)こちらは集中して一つになり、敵は十に分散したとすれば、こちらは十の力で敵の一の力に当たることになる。すなわち味方は多数、敵は少数なのである。
「専」とは集中するという意味です。単純ではありますが、この方法は相手の勢力を分割させて個別に撃破していくことから、後に「各個撃破(かっこげきは)」と呼ばれる有名な戦略となりました。
油断した相手の弱いところを攻める… 続きを読む
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