戦国武将に学ぶ経営のヒント(第81回)戦国時代の「分国法」は現代の「社内ルール」

歴史・名言

2022.02.02

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 法律上作成が義務づけられている就業規則とは別に、社内で守るべきルールとして社内規定を設けている会社は少なくないことでしょう。戦国時代にも、この社内規定に相当するような決まりがありました。それは、分国法。幕府から制定が義務づけられたものではありませんでしたが、自分が治める国の規律として、必要に応じて武将は分国法を定めました。

 分国法には長宗我部氏の「長宗我部元親百箇条」、朝倉氏の「朝倉敏景十七箇条」などさまざまなものがありますが、有名なのが武田氏の「甲州法度」です。

 甲州法度は、1547年に武田信玄が定めたもの。当初は55カ条から成っていましたが、後に2条が追加され57カ条となりました。

 甲州法度でまず目を引くのは、「内儀を得ずして他国へ音信、書状を遣わす事、一向停止せしめおわんぬ」という第3条の条文。承諾を得ないで他国へ手紙、書状を出すことを禁止するという内容です。

 これは他国への情報漏えいを危惧してのもので、現代でいう情報セキュリティに他なりません。現代の企業では、情報漏えいは事業の根幹を揺るがすものになりかねませんが、戦国時代も情報が他国に漏れることは自国の安全を脅かすものでした。

 他の分国法同様、甲州法度は土地所有や年貢、訴訟に関する規定に多くを割いていますが、よく知られているのは喧嘩両成敗の定めです。甲州法度の第17条は次のように述べています。「喧嘩の事是非におよばず成敗加ふべし」。理由に関係なく、けんかには処分を与えるということです。

 実は、甲州法度を定める前に、信玄の家来である赤口関(あこうぜき)左衛門と寺川四郎右衛門がけんか沙汰を起こすという出来事がありました。このとき信玄は2人を厳しく叱責し、耳をそぎ落とすという厳しい処分を与えています。

 信玄が厳しく処罰した理由として、けんかになっても2人が刀を抜かなかったことが武士としての心得に劣るとしたことが挙げられています。武士たるもの、争いになったら刀を抜き、命を懸けて戦うべきだということです。

 もちろん、そのことも信玄の頭の中にはあったかもしれません。しかし、甲州法度で「けんかの際は命を懸けてやること」などとはせず、「理由に関係なくけんかは処分する」としたのは、けんか沙汰が家中の規律を乱すことになり、さらには他国に知られれば自国の評判を落とすことを懸念したのだと思われます。特に、戦場でけんかが起こるようなことがあると混乱の元になり、士気に影響するだけでなく危険です。

 会社では取っ組み合いのけんかになるようなことはまずないと思いますが、主導権や権益をめぐっての部署間、個人間でのいさかいはあり得ます。意見をぶつけ合っての議論は勧められるべきものであっても、正面からの衝突や反目は周囲の士気や規律に影響してきます。社内規定に明文化するかはともかく、話し合いを通じての解決などに導くことが求められます。

“心構え”に重きを置いた「結城氏新法度」…

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