戦国武将に学ぶ経営のヒント(第82回)和を尊んだ中国の兵法書『呉子』が教えるもの

歴史・名言

2022.03.14

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 戦国武将の役割は、領国の経営、諸国との外交など幅広いものがありますが、なんといっても運命を左右するのが戦です。戦でいかに勝利するか。武将は、中国古代の兵法書を読んで研究していました。兵法書には有名な『孫子』や本連載第45回で取り上げた『六韜(りくとう)』などがありますが、今回は『呉子(ごし)』を紹介します。

 『呉子』は春秋戦国時代に著されたとされる兵法書で、代表的古典とされる武経七書の一つです。著者ははっきりとは分かっていませんが、魏に仕えた呉起(ごき)の筆によるものという説が有力です。上杉謙信や毛利元就なども、この『呉子』を参考にしていました。

 『呉子』には、戦のときに用いる陣形など戦い方に関する具体的な記述もありますが、それだけではありません。現代のビジネスにも通じる考え方や言葉がいくつもあります。

 例えば、「兵を用うるの害は、猶予最大なり。三軍の災いは孤疑より生ず」。兵を用いるとき、害となるのは決断しないで滞ってしまうこと。全軍の災いは疑いから生まれる、という意味です。

 これは、リーダー論として読むことができます。ビジネスでも、リーダーの決断が遅れることの弊害はよく指摘されるところです。まして、スピード感が重要になっている昨今のビジネスでは、決断の内容ではなく、決断の遅れ自体が致命的な結果をもたらすことも珍しくありません。

 もちろん拙速な意思決定は慎むべきですが、リーダーが時間をかけ過ぎることの弊害は2000年以上前の中国で指摘されていました。

 「有功を挙げて進んでこれを饗(きょう)し、功なきをばこれを励ませ」との言葉もリーダーの心得で、功を挙げた者は進んでねぎらい、功がないものは励ませ、という意味です。

 饗という字は饗宴などと使われるように、食事やお酒でもてなすというニュアンスがあります。古代の中国で、戦功を挙げた者を宴でねぎらうシーンが思い浮かびます。

 これは、ビジネスでいうと評価に当たるでしょう。結果を出した者は積極的に評価してモチベーションを上げよ、ということです。

 またそれだけでなく、同時に「功なきをばこれを励ませ」といっていることも注目に値します。結果を出せていない者も、そのままにしておかずに励ます気遣いが求められることをこの『呉子』の言葉は示しています。

『呉子』に記された「和」の重要性…

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