トップインタビュー(第3回)失敗を許容するリーダーが強い

経営全般

2015.07.10

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楽天会長兼社長 三木谷浩史氏

 1997年、わずか6人の従業員でスタートした楽天。2013年12月期には連結売上高5000億円を超え、日本を代表するIT(情報技術)企業になった。三木谷会長兼社長は、デフレに慣れて減点主義に陥った日本の経営に警鐘を鳴らす。

――創業して18年。業容も規模も大きく変わりました。自身が経営する上での向き合い方は変わりましたか。

三木谷:当然6人の会社と1万4000人の会社では差が出ます。ただ、基本スタンスはほとんど変わっていません。“スピードの経営”であり、ビジョンにしている「インターネット・サービスを通じて人々と社会をエンパワーメントする(力づける)」ことは。変わった点といえば、部下に任せる仕事が増えたところです。規模と同時に社内に階層が増えます。すべてを私がコントロールすることはすでにできません。

――これまでどのようなタイミングで権限移譲を進めてきましたか。

三木谷:明確なのは、事業が業態的地理的に広がるときです。私が掌握するのが物理的に不可能になりますから。楽天でいえば、金融やメディアといった事業は幹部に任せています。

 任せられる人材を育てるために2つの取り組みを始めました。1つは若手の幹部候補を見つけ、3年ほどかけて世界中で様々な仕事を経験させる制度です。営業は強いけれど経理が苦手、人事が弱いといった課題を持つ人材を育てるのが狙いです。従来の日本型の人材育成では、何十年もかけて同じような発想で育てましたが、それでは遅いMBA(経営学修士)のように、数年ですべてを学ばせるプログラムです。

 もう1つ、社費留学制度を始めました。時代に逆行しているように見えますが関係ありません。楽天にとって必要な施策です。楽天は、既存のフレームワークで表現すれば、従来の日本型と中途採用中心のシリコンバレー型のハイブリッド(混合)を目指しています。楽天は10年、20年という尺で経営を考えています。それに合わせた人材育成の戦略が必要です。

――ある大企業の元社長は、自社を長い列車にたとえました。先頭車両である自分が右に曲がっても、後続車両はまだまっすぐ走りっぱなしで、全社が曲がり始めるまで非常に時間がかかるという意味です。楽天ではそのような現象は起きていませんか。

三木谷:あまり感じてはいません。それを防ぐために主に2つの策を講じています。楽天では、コミュニケーションを密にした上で、仕事の進め方についてはある程度放置するところがあります。一方、業績についてはきちんとフォローをします。

 例えば、上長に対して必ず週報を出します。私にも毎週100通以上届きます。これをきちんと機能させ、現場の問題点を把握し解消します。また金曜日には、世界中に120人以上いる執行役員以上の役職者が出席するテレビ会議を実施します。これとは別に、火曜日の朝8時には、全世界のオフィスをつないだ経営会議を開きます。すべての階層に対する直接的なコミュニケーションが重要です。

 もう1つ、あらゆるものの「見える化」を徹底しています。自分と関係ない部署の業績を新入社員でも見ることができます。とにかく透明性を高めることが大事です。こうした取り組みを普段からしていれば、下が付いてこないという問題は起きにくいでしょう。

前言撤回はやって当たり前…

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三木谷 浩史(みきたに・ひろし)

1965年、兵庫県生まれ。88年に一橋大学商学部を卒業後、日本興業銀行(現・みずほ銀行)に入行。93年に米ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得。97年にエム・ディー・エム(現・楽天)を立ち上げる。現職は楽天会長兼社長。

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