ビジネスWi-Fiで会社改造(第9回)
Wi-Fiのトラブルに強くなろう―信頼獲得作戦
2017.07.24
みんな電力 代表取締役 大石 英司氏
誰がどういう電源で発電したかが分かる「顔の見える電力」のサービスを展開するみんな電力。代表取締役の大石英司氏は、世界的に注目を集めるシェアリングビジネスと同じく、電力小売りも個と個のつながりが重要になると読む。
(写真/佐藤 久)
──2016年4月の電力小売り全面自由化で、再生可能エネルギーを主体とする新電力として参入し半年以上がたちました。経過をどう見ていますか。
大石:自由化前は「価格」だけが主戦場になるといわれていました。しかし、実際に蓋を開けてみると、一般にいわれているよりも、価格で選ぶ人はむしろ少なくて、再エネで発電しているのかといった電源に対して関心が高い人が多いというのがぼくの実感です。
──意外ですね。電力自由化に関するさまざまな調査で、消費者が新電力を選ぶ基準として電気料金がどれだけ安くなるかが最も大きな理由になっているという結果が出ています。
大石:まだニーズが顕在化していないのだと思います。電源を選んで電気を使いたいと考えて実際にそうしている人は、3%ぐらいではないでしょうか。逆に価格で選ぶ人は15%ぐらい。それから20数%は、電源に関心があるのだけれど価格も重視しているという、いわば両方を求めている人たちです。
残りの60%ぐらいは無関心な人だとみています。この人たちは一見無関心なのですが、例えば東日本大震災を経験して、福島のように遠いところから東京まで延々と電気が運ばれていたのだと気付き、電力供給のあり方に問題意識を持っている人もいます。ただ、実際にどう行動すべきかよく分からなくて様子見をしているのだと思います。現在は300社以上の新電力が一気に参入して、消費者にとって訳が分かならない状況が続いています。1年間ぐらいすると落ち着いてくるのではないかと予想しています。
──その時にニーズが顕在化して、無関心な人が再エネを選ぶようになりますか。
大石:やり方次第では、十分にあり得ると思いますよ。
──どのような方法がありますか。
大石:みんな電力の1つの特徴は誰が発電しているのかが分かる「顔が見える電力」です。
──みんな電力のウェブサイトには、農産物の生産者表示と同じように、みんな電力に登録している発電所の写真がずらりと並んでいて、どのような発電所なのか、オーナーはどのような人なのかといった解説がそれぞれに付いています。電気の購入者はその中から毎月、発電所を選べる仕組みになっています。中には、契約した人に農産物を提供するなどの特典付きの発電所もありますね。
大石:現在は、東京・八王子産の太陽光発電などといった地域性の豊かな発電所が多いですが、今後はミュージシャンやアイドル、スポーツブランドの発電所を登録するなど、切り口を変えて顔の見える電力のラインアップをどんどん増やし、無関心な人たちに関心を持ってもらうようにしようと思っています。
ジョシエネLABOから再エネの情報を発信する
例えばミュージシャンがファンに対して「俺の電気を買ってくれ」と言ったら、再エネかどうかには関係なく、そのミュージシャンの電気なら買いたいと思うでしょう。「私いま、あの人の電気で暮らしている」というように、楽しみながら電気を使えます。電気には無関心でも、音楽やアイドルなどに関心がある人はいます。まず、電気以外のところで接点をつくれば、それがきっかけになって最終的には電気に関心を持つ人が増えるのではないでしょうか。
──もう具体的に動き出しているのですか。
アディダスジャパンが命名権を購入した「アディダス発電所」がアートイベントに電力を提供
大石:例えば2016年11月22日から約1カ月間、再エネ発電事業者のエコロジア(東京都品川区)が千葉県木更津市で運営している太陽光発電所のネーミングライツ(命名権)をアディダスが買い取り、「アディダス発電所」として顔の見える電力に登録しています。さらに、この電気を東京都杉並区のギャラリーで開催されるアートイベントに供給するといった取り組みをしています。発電所のネーミングライツの売買は、恐らく世界で初めてだと思います。
他にも、顔の見える電力として登録する時期は未定ですが、あるミュージシャンが発電した電気を既に仕入れています。
大石 英司(おおいし・えいじ)
1969年大阪府出身。明治学院大学経済学部を卒業後、広告制作会社・PCソフト開発会社を経て凸版印刷へ。 2011年にみんな電力を設立。電力小売り全面自由化に合わせて小売事業に参入し、 電気を使う人がウェブサイトを通して発電する人を選べる「顔の見える電力」を展開している。
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