トップインタビュー(第32回)自己表現をするためにデザインは欠かせない

経営全般

2017.11.30

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スマイルズ 代表取締役社長 遠山正道氏

 スープ専門店「Soup Stock Tokyo」をはじめ、さまざまな事業を立ち上げた。最近は魅力的な個人への出資・インキュベートにも積極的な遠山社長は、企業にとってのデザインやクリエーションをどう捉えているのか。

――遠山社長は子どもの頃からアートに親しんできたとお聞きします。そんな遠山社長にとって、企業経営におけるデザインやクリエーションとは、どのようなものでしょうか。

(写真:丸毛 透)

遠山:自分がやりたいことを実現するために、あるいは自己表現をするために欠かせないものですね。スマイルズでは、ビジネスでもイベントでも、何かを始めるときには、最初に「シーン」を描くことを大切にしています。私がSoup Stock Tokyoを始めるときも、女性がスープをすすってホッとしているシーンがまず頭に浮かんで、それが事業化のきっかけになりました。

 社内では企画単位でも事業単位でも、シーンを描くことを皆でとことん突き詰めます。そのプロセスこそクリエーションの始まりであり、デザインでもあると思います。つまり、そもそもどんな価値を我々は提供したいのか、という根源的なところと結びついているものなんです。何かをつくって、その最後のところで姿形を整えるためのものではありません。

 最近、ビジネスとアートの関係といったテーマで取材を受けることも多いんですが、私は「ビジネスはアートに似ている」と思っているんです。なぜかというと、アートって、まだ形も何も見えない暗闇の中から自分なりの感性で「こんな感じ」というものを形にし、それを作品として世の中に提示するわけです。それをアートが生まれる風景だとすれば、ビジネスも同じですよね。

 新しいビジネスを考えるとき、まだ形も何もない。暗闇の中から「こんなことをやりたい、つくりたい」と。それをどうすれば実現できるだろうか、1人ではつくれないからどうしようか、と一生懸命考えて、なんとか形にして、世の中に提示して、お客さんから「いいね」と言ってもらって少しずつ大きくなる。これってまったく同じ風景ですよね。

 ビジネスとアートはある意味、とても近いものなのに、現実はとても遠い存在になってしまっています。私はサラリーマンのときに絵の個展をやり、それがきっかけでビジネスを始めたという経緯もあって、ビジネスをするときも、アートをつくるときと同じ気持ちです。ときめき感とか悶絶(もんぜつ)感とか。

 「また絵の個展をしないの?」と言われますが、絵を描いているよりビジネスの方が、広がりがあって楽しいですね。お客さんにも喜んでもらえるし(笑)

――何らかの構想なり表現したいことが自分の中にあって、でも、まだ形にはなっていない。それをさまざまな手段で形にしていく。言語化していく。その行為がつまりアートだとすれば、新しいビジネスを生み出すことはまさにアートであり、クリエーションだといえますね。

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遠山 正道(とおやま・まさみち)

1962年東京生まれ。三菱商事初の社内ベンチャーとしてスマイルズを設立。2008年2月MBOにて100%株式を取得。Soup Stock Tokyo、ネクタイブランドgiraffe、セレクトリサイクルショップPASS THE BATON 100本のスプーン、PAVILION、檸檬ホテル、刷毛じょうゆ海苔弁山登りの企画・運営を行う。NY、青山などで絵の個展も開催。

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