トップインタビュー(第18回)弓道を経営に生かし、業績2倍

経営全般 増収施策

2016.09.07

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ゴディバジャパン社長 ジェローム・シュシャン氏

 ベルギー発の高級チョコレートブランド「ゴディバ」が、日本で絶好調だ。2010年12月期の売上高133億円から、15年12月期は282億円と倍増。躍進の秘密は、弓道の精神を取り入れたフランス人社長の手腕にあった。

──5年で売り上げを2倍にできた要因を教えてください。

シュシャン:売り方を改革したんですよ。2010年にゴディバ ジャパンの社長になって考えたのは、もっといろいろな場所で「ゴディバ」のチョコレートを買えるようにしたいということでした。

 ベルギーを代表する高級ブランドのゴディバは百貨店などに出店してきました。ただ、消費者の声に耳を傾けると「あまり買う機会がない」という声があった。それで、身近な場所でも買えるようにしようと社内で提案したんです。

 社員たちは困った顔をしました。店を増やし、身近なところでゴディバが買えるようになると、ブランドイメージが崩れるのではないか、と懸念したからです。

二者択一ではない

──高級ブランドを守ろうとした社員の気持ちも分かります。

シュシャン:確かにブランド戦略では、二者択一を迫られることが多い。高級ブランドは店数をせいぜい50~60店に抑え、希少価値を追求する。一方、普及ブランドは「ユニクロ」のように店をどんどん増やして、より多くの消費者に商品を届けようとする。

 けれど、ゴディバは両方を追求する道を選びました。高級路線を堅持しつつ、手軽に買えるようにするという戦略です。一見、成立しないように思うかもしれませんが、それは誤解です。

 ハイレベルの品質とサービスを維持すれば、店を増やしても、心理的にはプレミアム感を保てます。ブランドイメージは消費者のマインドで決まるのであって、手に入りやすいかどうかというのは、あまり関係がないからです。

 そこで私は70~80人いた当時の社員全員を集めて、こんなキーワードを掲げました。「アスピレーショナル&アクセシブル(憧れだけど、買える場所が多い)」──。

 ゴディバへの憧れのイメージは一切潰そうと思っていない。もっと購買のチャンスを増やしたいのだと説明すると、社員も「なるほど」と納得してくれた。トップの意図を伝えるには、分かりやすいキーワードにすることが効果的だと改めて思いました。そうして、「セブン─イレブン」などで売り始めたのです。

──コンビニエンスストアで、高級チョコレートを売るというアイデアは斬新ですよね。

シュシャン:お客様からは、深夜でも、家の近くでゴディバのチョコレートが買えるようになったと、とても喜んでもらえました。チョコレートのクオリティーは変えていませんし、店頭では、お客様にはゴディバのペーパーバッグに入れてお渡しすることで、プレミアム感も演出しました。

 コンビニや駅ビルで売ると、百貨店などに出している既存店の売り上げが落ちるという見方をする社員もいましたが、結果的には全てのチャネルで売り上げは伸びました。一切、カニバリ(自社競合)はなかったんです。

 理由はタッチポイント(購買できる場所)を増やしたことで、認知度が高まったからです。今まであまりゴディバを買わなかった人にも、いつも通っている駅ビルに店があるなら買ってみようという動機付けが働いたのです。

目標に気を取られない…

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ジェローム・シュシャン

1961年フランス・パリ生まれ。HECパリ経営大学院卒業。フランス国立造幣局、ラコステの北アジアディレクター、ヘネシーのディレクター、リヤドロジャパン社長などを経て、2010年ゴディバ ジャパン(東京・港区)の社長に就任。プライベートでは、1990年から弓道を始め、2010年に国際弓道連盟理事就任。13年弓道錬士5段取得。著書に『ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?』がある

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