トップインタビュー(第39回)文化とソフトで独自商品を売るサクラクレパス

経営全般

2018.06.29

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サクラクレパス 代表取締役社長 西村彦四郎 氏

 1921年創業のサクラクレパスは、クレヨンとパステルのそれぞれの特長を取り入れたクレパスや全部が芯でできた色鉛筆のクーピーペンシルなど数々の画期的な商品を開発し、絵画用品・文具製造の世界で確固たる地位を築いてきた。商品開発のポイントや企業戦略について代表取締役社長・西村彦四郎氏に伺った。

――御社は社名にもなっているクレパスをはじめ、独自性ある商品を開発し続けてこられています。この開発力が御社の強みになっていますが、商品開発に関してどのようなお考えをお持ちですか?

クレパスやクーピーペンシルのパッケージは多くの人が一度は見たことがあるはず

 それまでの市場にない、新しいカテゴリーを開く商品を作りたいと常々思っています。競合の多い市場に商品を投入しても後発ではなかなか勝てませんし、得てして価格競争になりがちです。新たな価値を持った商品を作り、新たな市場をつくる。これが、開発に関する我々のフィロソフィーです。

 もちろん、言うはやすしですが、新しいカテゴリーを開く商品を企画するのは簡単ではありません。社員のアイデアを出やすくするためには、部門の壁を取り払うことを意識しています。ともすると、商品企画を考えるのは企画部門、それを技術的に研究するのが研究部門とハッキリ切り分けられてしまいますが、そうではなく、研究部門の社員にも「自分たちで研究して作りたいものをもっと考えて出してくれ」と言っています。

 それには気付きの場をいかに持つかが大切です。私は「いいアイデアがなければ、現場に行け」と奨励しています。学校向けの商品を作りたいなら、学校に行って見ること。「こういうところに困っている」、「こういうのがあったら便利だ」と気付くことができます。

 例えば、私どもの商品に「ポスターカラーEX」があります。これは研究所の人間が自ら学校を訪問し、先生方に面談して開発したものです。中学校のデザインの時間でアクリルガッシュという絵の具を使います。この画材は金属、木、プラスチックなど幅広い素材に使える便利なものですが、すぐに洗い落とさないと筆もパレットも固まってしまいます。先生方は、ここに困っておられました。

 一方、ポスターカラーは使った後の手入れは簡単ですが、プラスチックなどには描けないという問題があります。そこで、いろいろな素材に描けるアクリルガッシュと、手入れが容易なポスターカラーの両方の良さを持つ商品としてポスターカラーEXの企画が出てきたというわけです。

――御社は絵画用品や筆記具などの製造だけでなく、カタログ通信販売事業なども手掛けられていますね。

 2002年に、学校向けの通販サービス「エデュース」を始めました。現在、全国の90%以上の小中学校・幼稚園・保育園などにご登録いただいています。エデュースが、さまざまな商品やサービスが派生するプラットフォームとして機能しています。エデュースを始めることでお客さま1人ひとりとつながり、顔が見えるようになりました。そこで絵の具などのモノだけでなく、コト(サービス面)のお困り事も見えるようになってきたので。さまざまなサービスを手掛け始めました。

 例えば、幼稚園・保育園では図画工作・音楽・運動の3つがカリキュラムの柱です。先生方はお絵描きや工作の指導をしなければならないのですが、毎日のことなので指導メニューを考えるのが大変です。そこで料理のレシピサイトをヒントに、ウェブ上で図画工作の保育実践メニューを見られるようにと考えて始めたのが「保育Studio」です。

 保育園は教育施設ではなくお子さんをお預かりする場です。現場でお話しするうちに、お絵描きをどう教えていいか悩んでいる先生が少なからずいらっしゃることが分かってきました。そこでお絵描きや工作を教えられる講師を派遣するサービスとして始めたのが、「コルサポート」です。こうしてエデュースからいろいろなサービスが生まれ、それが事業の多角化につながっています。

ハイテク装置や海外市場に挑む…

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西村 彦四郎 (にしむら・ひこしろう)

1955年、兵庫県生まれ。79年に成蹊大学法学部を卒業し、80年4月にサクラクレパスへ入社。96年から営業企画本部長などを歴任し、2014年に代表取締役へ就任、以来現職。教育施設向け通販「エデュース」やプラズマ強度を 判断できる「プラズマインジケータ」など多数の新規事業を立ち上げる。

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