オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2016.11.07
実例でドラッカーのマネジメントを学ぶ連載の第10回は、時間の管理(時間の記録)を通じて、収益改善を実現した企業を紹介する。時間の管理を行うことで、隠れたムダを発見できるだけでなく、従業員1人ひとりの意識が変わり「この仕事は何のために行うのか」を自ら問いかけるようになったという。
●ドラッカーの言葉
「成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする」
(『経営者の条件』)
<解説>スケジュール管理を行う人は多い。仕事が発生すると手帳に記入し、時間を埋める。こうして空いていた時間を失う。すなわち、仕事からスタートしている。それでは成果は上がらない。時間の創造からスタートすべきである。すなわち時間管理とは、空き時間をつくることであるべきだ。スタートラインの違いは、意識の違いを生む。時間の創造から着手する者は、時間が限られた資源であることを深く理解する。だから、非生産的な仕事を特定し、それを廃棄しようとする。今までのやり方を変えようとする。自ら考えて決断し、行動するようになる。
創業以来、初めての減収減益。ウイッツコミュニティ(神奈川県相模原市)の柴田正隆社長は、頭を抱えていた。
1990年、大学生のときに起業した。ビル清掃からスタートし、ビルメンテナンスやマンション管理に業容を拡大。右肩上がりで成長を続けてきた。
ところが、2011年2月期、大幅な減益に陥った。それまで数年間、コンスタントに4000万~5000万円の経常利益を上げていたのが、約900万円に落ちた。
「今思えば、従業員数が100人を超えて数年たった頃だった。社長の私1人では会社を隅々まで見られなくなり、隠れたムダが増えていたのだろう」と、柴田社長は振り返る。
だが、当時はそんな構造的な問題に気付かず、ただ焦った。明確な打ち手が見つからないまま、社員に「もっと気合を入れろ」「頑張れ!」と、精神論の号令を掛けることしかできなかった。
そんなとき、後輩の経営者の誘いでドラッカーのセミナーに参加した。そこには目からウロコが落ちるような驚きが待っていた。
ドラッカーの主張はすべてにおいて、今までの自分と正反対だった。例えば「強みを生かせ」とドラッカーは説くが、自分は社員の弱点を直そうとばかりしていた。「利益は、目的ではなく条件なのだ」という指摘も衝撃的だった。しかも、それぞれの論拠に説得力がある。「ドラッカーに従えば、自社の減益は当然の結果だ」と納得した。
その後、14年と15年、課長職以上の管理職全員に、自分が受けたものと同じセミナーを受けさせた。「社長が本気にならなければ、会社は変わらない。だが、社長1人でできる改革には限界がある。本気で会社を変えるには、社員を巻き込まなくては」と考えたからだ。
社長のその思いが、1人の管理職を動かした。
佐藤 等(佐藤等公認会計士事務所)
佐藤等公認会計士事務所所長、公認会計士・税理士、ドラッカー学会理事。1961年函館生まれ。主催するナレッジプラザの研究会としてドラッカーの「読書会」を北海道と東京で開催中。著作に『実践するドラッカー[事業編]』(ダイヤモンド社)をはじめとする実践するドラッカーシリーズがある。
実例で学ぶ!ドラッカーで苦境を跳ね返せ
2022年5月20日(金)① 14時00分〜15時00分(予定)② 18時00分~19時00分
テレワーク関連
新型コロナウイルスの影響もあり、企業におけるテレワークの導入が拡大しました。
一方でまん延防止等重点措置が解除され、今後どのような働き方を目指すべきか迷われる企業様も増えているのではないでしょうか。
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ぜひこの機会にご参加ください。
2022年3月7日(月)~2023年3月31日(金)
法改正関連
2023年導入予定のインボイス制度の対応の準備はできていますか。インボイス制度は、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として導入されます。仕入額控除の要件として、適格請求書発行事業者が発行する「適格請求書」の保存が必要となります。本セミナーではPwC税理士法人 村上 高士氏をお招きし、課税事業者の皆さまの立場で、インボイス制度導入後に何が変わり、どのような影響があるのかを解説します。