偉大な先人に学ぶ日本ビジネス道(第5回)国産機械の開発に挑み「日立」を生んだ小平浪平

雑学

2016.10.28

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 日立製作所といえば、2016年3月期の売り上げが10兆円を超えた日本最大の総合電機メーカーです。この日立製作所を明治時代末期の1910年に創業したのが、小平浪平(おだいら・なみへい)です。

 パナソニックの松下幸之助や本田技研の本田宗一郎といった創業者に比べて小平の名前はややなじみが薄いかもしれませんが、その革新性や行動は遜色ありません。ビジネスパーソンなら、ぜひ知っておきたい人物です。

 小平浪平は、時代が江戸から明治に移った直後の1874年、現在の栃木市に生まれました。上京して、東京英語学校、第一高等中学校(後の旧制一高)へ進学。学校ではテニスやボート、野球などのスポーツや旅行に興じ、美術にも関心を示すなど青春を謳歌したといいます。

 東京帝国大学の工科(現・東京大学工学部)へ進学したものの、ここではカメラに凝って落第を経験。それでも、工科に学ぶ者としての志の高さは、当時の彼の日記にある次のような記述からうかがうことができます。「わが国の工場の幼稚さには驚く。日本の工業が振るわないのであれば、これを振るわせるのは自分の任務である」

 工業に対する強い決意を持ちつつも、学問にだけ打ち込む青白い秀才にならず、あらゆるものに興味を示して伸び伸びと青春時代を過ごした小平浪平。その時にすでに、後に発揮されることになる開拓者精神が養われていたのかもしれません。

発電所建設プロジェクトに能力を発揮

 1889年、東京帝大を卒業した小平は、藤田組(現・DOWAホールディングス)へ入社しました。そして、同社の小坂鉱山に電気技師として赴任することになります。そこで運命の人、久原房之助と出会います。

 久原は、現在のJXホールディングス、日産コンツェルンなどにつながる久原鉱業を後に興した人物。この時は藤田組の共同経営者の1人でした。小平は、久原から水力発電所の建設を担当するよう命ぜられ、取水堰(ぜき)や導水路、発電所、変電所、送電設備まで設計や施工を一手に引き受け、2年後にすべてを完成させました。このあたり、ひとかたならぬ小平の力量が表れています。

 しかし、信頼していた久原が大阪の本店に呼び戻されると、「時代の先端をいく大きなプロジェクトをしたい」との思いから、藤田組を辞めます。その後、広島水力電気を経て、東京電燈(現・東京電力)へ入社。山梨県大月市の駒橋発電所の建設プロジェクトを中心となって進め、無事に完工させています。

 藤田組や東京電燈での大きなプロジェクトを通じて、小平の心の中で膨らんだ思いがありました。それは、「どうして機械設備は外国製ばかりなのか。日本の技術でできないものだろうか?」というものです。日本の工業が発展するためには、輸入するばかりではなく、自主技術、国産の技術で機械を製作しなければならない。この思いが、やがて日立製作所の創設へと結び付いていったようです。

「国産品をこの手で」の思いが日立製作所へ結実…

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