偉大な先人に学ぶ日本ビジネス道(第12回)商都、大阪を盛り上げた岩井勝次郎は堅実派だった

雑学

2017.05.26

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 日本を代表する商都、大阪。近代に入ってその基礎を築いた立役者の1人として連載第1回に五代友厚を紹介しました。今回は、同じく関西経済界の発展に寄与した岩井勝次郎を取り上げます。

 勝次郎は、現在の商社、双日につながる岩井商店を起こして貿易に活躍。その後は関西ペイント、大阪繊維工業(現・ダイセル)、亜鉛鍍(現・日新製鋼)、東亜紡織(現・トーア紡コーポレーション)など数々のメーカーの設立にも携わった、関西経済界の大功労者です。

信用状による取引を日本で初めて実行

 1863年、丹波(現・兵庫県)に生まれた勝次郎は、大阪に出て義父の文助が経営する雑貨舶来商で店員として働き始めました。

 大阪から神戸の外国人居留地にある外国商館に通う日々の中で、勝次郎は不平等な商習慣に直面することになります。当時、日本の商人は信用状取引を行うことができず、現金による前払いでしか貨物を引き取ることができなかったのです。また価格は外国商館の言い値に従い、違約があったときには泣き寝入りすることも多かったようです。

 こうした状況に矛盾を感じていた勝次郎は、1896年に義父の下から独立して岩井商店を設立。神戸の外国商館を通さず、海外の貿易商と直接取引を始めました。これに驚いたのが外国商館です。「直接取引をやめなければ、岩井商店とは取引しない」などと圧力をかけてきましたが、勝次郎は意に介しません。

 また横浜正金銀行の高橋是清副頭取に協力を求め、現金による前払いを必要としない、トラスト・レシート(信用状)による貨物引き渡しを実現しました。トラスト・レシートを使った海外との直接取引という近代貿易の、日本における先駆けとなったのです。

 1914年に第一次世界大戦が勃発。欧州において軍需品需要が増大、それとともに欧州製品が後退したアジア・アフリカ市場で日本製品の需要が急激に高まり、日本に大戦景気が訪れます。この景気を背景に岩井商店は大きく発展を遂げます。

 岩井商店の発展を支えたのは大戦景気という外部環境にだけではありません。勝次郎のビジネススタイルも大きな要因だったでしょう。「なるべく先方にもうけさせる。先方でもうかりさえすれば、アフリカの山奥からでも注文が来る。もうからなかったら、上海、ロンドンからでも注文が来ない。なるべく先方にもうけさせて、そうして自分の方も取ることが必要である」。店員時代からあまたの商売を経て育んだ先方第一主義です。

貿易から製造業へと活躍の場を拡大…

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