偉大な先人に学ぶ日本ビジネス道(第11回)利益を求めず名物料理を生んだ新宿中村屋、相馬愛蔵

雑学

2017.04.21

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 ラーメンとともに日本の国民食ともいわれるカレー。明治初期に入ってきたのは英国を経由した欧風料理としてのカレーでした。その後、日本流にアレンジしたカレーが次々に開発されていきました。そんな中で、スパイスを利かせたタイプを「純印度式カリー」として1927年に提供し、大評判となったのが新宿中村屋です。開発のきっかけとなったのは、創業者の相馬愛蔵とあるインド人との友情でした。

 相馬愛蔵は1870年、信濃国安曇郡(現・長野県安曇野市)に生まれました。松本中学を3年で退学すると、東京専門学校(現・早稲田大学)に入学。在京中に市ケ谷の牛込教会に通い始め、キリスト教に入信して洗礼を受けます。

 東京専門学校を卒業後は北海道に渡り養蚕を学びました。当時の絹製品は日本最大の輸出品。故郷に帰ってからも研究を続け、2冊の著書「蚕種製造論」「秋蚕飼育法」を出版して蚕業界の進歩に貢献しました。

 1898年には仙台藩士の娘・星良(黒光)と結婚。黒光とともに養蚕に携わり続けるはずでしたが、仙台、横浜と都会育ちの黒光は安曇での生活が合いません。そこで一念発起して上京。ここから、愛蔵の人生は大きく変化を遂げることになります。

クリームパンを日本で初めて販売

 愛蔵が思い付いたのが、その頃普及が始まったパンを商売にすることでした。本郷の東大前にあった「中村屋」を居抜きのまま譲り受け、1901年に夫婦でパン屋を開業します。

 研究熱心な愛蔵のこと、普通にパンを売っているだけでは納まりませんでした。相馬夫妻はある日、当時は珍しかったシュークリームを口にします。その味に驚いた愛蔵は、あんぱんの餡(あん)の代わりにシュークリームのクリームを使うことを思い付きました。こうしてできたのが日本初のクリームパンです。

 1904年には新宿に支店を開業。1906年には支店を現在地(東京・新宿)に移して本店とし、新宿の中村屋がここから始まります。当時、愛蔵と同郷の彫刻家、荻原碌山(おぎわら・ろくざん/号は「碌山」)が新宿に住んでおり、中村屋によく顔を出していました。そして碌山を中心に多くの芸術家が中村屋に集うようになり、「中村屋サロン」と呼ばれました。画家の中村彝(なかむら・つね)は、中村屋裏のアトリエを住まいとします。

かくまったインド人から本格的なカレーを教わる…

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