偉大な先人に学ぶ日本ビジネス道(第30回)社会貢献と事業発展を両立したライオン、小林富次郎

雑学

2018.11.15

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 「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助をはじめ、異名が付いた名経営者はたくさんいます。そうした中で、ちょっとユニークな異名で呼ばれたのが、衛生・健康用品のリーディングカンパニー、ライオンの創業者である小林富次郎です。「そろばんを抱いた宗教家」といわれた富次郎。ちょっと矛盾を感じるフレーズですが、見事に彼の人となりを表しています。

 富次郎は1852年、武蔵国(現・埼玉県)に生まれました。4歳の時、両親の郷里である越後国(現・新潟県)に戻り、16歳まで家業の酒造業と漁業を手伝いました。酒造業が不振に陥ったため、東京のせっけん工場に同郷の仲間と共に入社。その後、海外への展開を夢見て神戸のマッチ製造の会社に入りました。

 この時代に出会ったのが、キリスト教でした。当時はまだキリスト教が警戒心を持って見られていた時代です。友人に誘われキリスト教の演説会に行ったところ、演説会を妨害しようとする若者が現れて会場は騒然となりました。

 そのとき、クリスチャンの大男が割って入ってきました。当然、若者をつまみ出すかと思って富次郎が見ていると、その大男は「お願いです。静かにしてください」と丁寧に頭を下げ始めたのです。感動した富次郎はこれをきっかけに教会に通い始め、洗礼を受けてクリスチャンになります。

 一方、富次郎は事業にも情熱を注ぎます。マッチの軸を製造して世界に輸出しようと、富次郎は宮城県の石巻に工場を造りました。東北で良い木を育て、フランスから導入した最新鋭の機械で質の高いマッチの軸を生産しようとしたのです。

 ところが操業直前、大洪水が石巻を襲います。全財産をはたいて購入した機械、買い付けてあった1年分の原木が、すべて流されてしまいます。しかも、流された原木で地元の人の家が壊れてしまい、富次郎は非難の矢面に立たされました。

商品販売と慈善団体への寄付を結びつける…

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