脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第81回)
成功するポイント?アクセスポイント
公開日:2021.11.29
小腹がすいたときのおやつとして、会議のお菓子として、お酒のつまみとして、気の置けないパーティーの軽食として……。世の中にはさまざまなお菓子がありますが、亀田製菓のハッピーターンほどさまざまなシーンで活躍しているものは珍しいかもしれません。軽やかな食感と、せんべいにまぶされたパウダーの豊かな風味で愛されているハッピーターンは、1976年に発売された洋風せんべいのロングセラーです。
亀田製菓は、1946年に設立された亀田郷農民組合委託加工所を前身とします。設立当初は地元新潟の米を使って水あめを作ろうとしましたが、試作に失敗。柿の種など、米菓の製造を手掛けるようになりました。1957年には組織を亀田製菓株式会社とし、米菓メーカーとして本格的にスタートを切ります。
日本では1950年代に入って戦後の復興が進み、それに伴い社会の洋風化が進みました。お菓子の世界でもチョコレートやキャラメル、キャンディーといった洋菓子が人気を集め、人々の嗜好が変わりつつありました。そうした変化を捉え、1961年に亀田製菓が発売したのが「サラダホープ」です。
それまで、せんべいやおかきなどの米菓は伝統的なしょうゆ味のものがほとんど。そうした中、サラダホープはおかきの味付けに植物油を使い、さらにマヨネーズ風味を加えた非常にユニークなものでした。名前は「亀田製菓の希望(ホープ)の星になってほしい」という願いから付けられたもの。米菓にカタカナの名前を付けるというのもかつてない試みでした。
伝統的な日本のおかきに洋風の味付けをした「洋風おかき」のサラダホープは、発売直後から大ヒットになりました。しかし売れ過ぎたために製造が追い付かず、商品の供給が間に合わなくなり、後発の類似品に市場を奪われてしまいます。そこから「技術的に他社がまねできない商品を」と開発にさらに力を入れたことが、後のハッピーターンでの成功につながります。
ちなみに、サラダホープは全国展開していないものの新潟県限定で現在も販売されており、県内では高い人気と知名度を誇っています。
新たな商品の開発に挑む亀田製菓は、まず1967年に「サラダうす焼」を発売します。従来のせんべいは分厚い堅焼きにしょうゆ味を付けたものが主流でしたが、サラダうす焼はパリッとした食感の薄焼きにサラダホープのような洋風の味付けを施したもの。スナック感覚で楽しめる、新しいタイプのせんべいでした。
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執筆=山本 貴也
出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。
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