トップインタビュー(第2回)会社を成長させるには、まず社員を喜ばせなさい

教育機関の変革 経営全般

2015.07.01

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日能研関東会長 小嶋勇氏

 まったくの素人から事業を立ち上げ、中学受験のトップブランド「日能研」を築いた小嶋勇氏は「客が心の底から喜んでくれないとビジネスは成立しない」と言う。前年と同じことは絶対にやらない戦略で、少子化時代に立ち向かう。

――わずか3人の子どもを教えていた塾を生徒数1万5000人超、年間売上高125億円の教育企業に成長させた最大の要因は何でしょうか。

小嶋:大事なのは客の喜ぶことをするということです。客が心の底から喜んでくれないとビジネスは成立しない。では、どうすれば客は喜んでくれるのか。それには、同業他社がやっていないことをするしかない。

 独立して事業を始めたばかりの頃、先生は学生アルバイトという塾がほとんどでした。それに対し、うちは全員プロの先生を雇った。加えて、すべての仕組みを年に1回、ゼロベースから見直しました。月謝も時間割も、前の年とそっくり同じということは絶対にしませんでした。月謝を半額にしたこともあります。

――それを目標に掲げるのは簡単ですが、実践するのは大変ですね。

小嶋:本気で客を喜ばせたいと思えばできますよ。僕はよく、「お客様は恋人だと思え」と言っていました。どうしたら相手は喜んでくれるだろうか、自分を好きになってくれるだろか、と真剣に考えていたら、仕事にもおのずと心がこもる。アイデアとはつまり「愛デア」なんです。もちろん、人と同じ時間働いているだけでは愛デアは浮かびません。人と違うことをしたければ、1.5倍は働く。社長だったら、社員の倍は働かないとダメです。

 創業前に建設会社でサラリーマンをしていたとき、現場監督として最初に経験したのは「ポリトイレ」という仮設便所の世話でした。ビルの建設現場の作業員は各階に設置したこのポリトイレで用を足す。いっぱいになると、重さは30キロにもなる。それを階下に運んで本物のトイレに流しては、また戻す。

 事業を始めたばかりのときにはお金もなくて、皿洗いをして糊口を凌ぎました。だけど、そうした経験は後々、役に立ちます。使われる側の人間の気持ちが分かるから。だから、経営者は若いうちにできるだけ苦労をしたほうがいい。

 先ほど話した愛デアですが、最初の頃はほかと比べて高い給料はとても払えませんでした。だから、やめられないようにするにはどうしたらいいかと必死に考えて、毎晩、中古のマイカーで先生の送り迎えをしました。

 社員の自宅を、アポなしで訪問したこともあります。「近くまで来たので」と菓子折りを持って行くんです。そうすると、奥さんは感激して、それ以降、残業で遅くなっても理解してくれるようになった。おかげで、社員がどんな暮らしをしているのか、どんな家族構成なのかも、よく見えました。

記念日には花。でも毎年、何かしら変えます…

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小嶋 勇(こじま・いさむ)

1941年神奈川県生まれ。64年法政大学工学部建築学科卒業後、建設会社勤務を経て、68年に横浜市で「日吉英数学園」を創業。その後、日能研グループを創業者である故・高木知巳氏とともに立ち上げ、中学受験予備校のトップブランドへと成長させた。日能研グループは日能研や日能研関東、日能研関西など5社から成り、日本全国に約140教室を展開する。2006年に日能研関東社長の座を長男に譲り、会長に就任。日能研理事長も務める。

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