企業のBCP(事業継続計画)対策の取り組み状況はどうなっているか。日経BPコンサルティングのアンケートシステムAIDAにて、同社保有の調査モニター1941人を対象にアンケートを実施した。
BCP対策に取り組むのは6割の企業
BCPには全体の58.6%と過半数の企業が取り組んでいる。業種別で見ると、BCP対策の取組率が7割を超える業種は、政府・官公庁・団体、運輸・通信インフラ業、製造業。特に政府・官公庁・団体は83.3%と8割を超えた。運輸・通信インフラ業は、「十分取り組んでいる」の比率が最も高く、14.3%の選択率だった。
従業員規模別で見ると1000人以上の企業の取組率が7割を超えている。従業員規模の大きい企業ほど、BCP対策に取り組む比率が高くなる。特に1万人以上の企業では、92.4%と9割を超える企業がBCP対策に取り組む。さらに22.9%の企業が「十分取り組んでいる」を選択した。一方、99人以下の企業の取組率は、100人以上の企業の過半数がBCP対策に取り組んでいるのに対し、24.4%と非常に低い。100人を切る企業のBCP対策に対する意識は希薄だといえる。
【図1-1 BCP対策の取り組み状況(業種別)】
【図1-2 BCP対策の取り組み状況(従業員数別)】
マニュアルの整備・ルール構築に最も注力
BCP対策として最も取り組まれている項目は、「災害時の事業継続マニュアルの整備・リスクマネジメントのルール構築」で、企業全体の60.2%が選択。突出した選択率となった。特に、政府・官公庁・団体の選択率が80.8%と非常に高い。次いで取組率が高い項目は、「IT環境の構築」の37.8%となった。業種では特に、情報処理・ソフトウエア・SIコンサルティングが51.3%と過半数が選択した。3番目に高い選択率(30.9%)だった「拠点間の連絡システム・スキームの構築」は、運輸・通信インフラ業では44.6%と高い。拠点間を結ぶインフラ構築に従事しているからだろう。
従業員数別で見た場合、従業員規模が大きくなるほど選択率が高まる項目には、「拠点間の連絡システム・スキームの構築」「業務の拠点や基幹システムを複数地域に分散化」が挙がる。拠点数と従業員規模は、ほぼ比例関係にあるのが理由といえる。
【図2-1 取り組んでいるBCP対策内容(業種別)】
【図2-2 取り組んでいるBCP対策内容(従業員数別)】
非常事態を想定したBCP対策は6割実施。ICT対策の5割を超える… 続きを読む
調査・執筆 = 日経BPコンサルティング
関連のある記事
連載記事≪Biz Clip調査レポート≫
- 第1回 本当に間に合いますか?マイナンバー対策 2015.07.01
- 第3回 半数以上の企業がオフィスに無線LANを導入済み 2015.12.09
- 第4回 企業の情報セキュリティー対策意識調査2017 2017.02.08
- 第5回 企業の働き方意識調査「長時間労働」 2017.03.17
- 第6回 企業の働き方意識調査「モバイルワーク・在宅勤務」 2017.03.27
- 第7回 通信事業者セキュリティーイメージ調査2017 2017.05.29
- 第8回 企業の7割が無線LAN導入済み 2017.08.09
- 第9回 企業の情報セキュリティ対策意識調査2018 2018.02.07
- 第10回 複合機利用実態調査2018 2018.03.14
- 第11回 BCP対策は企業を苦しめるのか? 2018.04.11
- 第12回 BCPのICT化で見える会社の社員に対する“思い” 2018.04.11
- 第13回 あなたの会社、RPA導入していますか<2019> 2019.02.20
- 第14回 長時間労働に変化。企業の働き方意識調査2019 2019.03.06
- 第15回 「モバイルワーク・在宅勤務」企業の働き方意識調査2019 2019.03.20
- 第16回 企業の情報セキュリティ対策意識調査2019 2019.06.05
- 第17回 社員のPC、Windows10アップデート状況 2019.07.17
- 第18回 店舗運営企業のキャッシュレス決済対応状況 2020.03.16
- 第19回 企業の情報セキュリティ対策意識調査2020 2020.03.30
- 第20回 紙を使う仕事はどれくらい?文書管理実態調査 2020.04.22
- 第21回 企業の監視カメラ導入実態調査 2020.04.22
- 第22回 「テレワーク」企業の働き方意識調査2020 2020.05.25
- 第23回 生産性向上に意識変容。働き方意識調査2020 2020.06.02