オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2016.07.14
プロジェクトの成功に欠かせない力の1つに「交渉力」があります。交渉は勝負ごとではなく、双方が満足できる解を共同で見つけ出す作業です。人間心理に強く働きかけるテクニックを活用すれば、交渉を円滑に進められます。
システム構築リーダーの日々は、「交渉の毎日である」といっても過言ではありません。上司やベンダー、システム利用部門、他部門、プロジェクトチームメンバーなどとのやり取りすべてに交渉が含まれています。それらの中でも、
・プロジェクトが遅延しているときのスケジュール交渉
・当初予算に含まれない仕様追加の予算獲得交渉
・スコープ外の作業を頼まれたときの交渉
などは、特にハードな交渉の場面となります。ここでは、こうしたケースで必要となる「交渉力」について解説します。
プロジェクトが置かれる状況は、「システム構築リーダーの交渉力の有無」に大きく左右されます。リーダーに交渉力がないと、無理なスケジュールや予算の下で進めざるを得なくなったり、周囲からの協力が得られなくなったりします。その結果、プロジェクトチームのメンバーはもちろん、他のステークホルダーも含めた全員を不幸にしかねない状況に陥る危険があります。
交渉における安易な妥協は、自分だけではなくすべてのステークホルダーに不幸をもたらす原因となります。しかし、交渉相手はプロジェクト管理側の理屈が通じる相手ばかりではありません。ときには理不尽な要求を突きつけられ、これをなんとかかわさなければならないケースもあります。
交渉と聞くと、「勝ち負け」を争う場面を想定する人が多いでしょう。交渉を勝負ごととして捉えると、「相手にいかに勝つか」「いかに自分に有利な結果に導くか」などをつい考えてしまいがちです(図1)。しかし、プロジェクトの現場においてリーダーが直面する交渉には、一方的な勝ち負けは存在しません。というよりも、勝ち負けがあってはならないのです。
例えば、要件定義フェーズでプロジェクトのスコープを決める際、利用部門が「この機能まではどうしても入れてほしい」と主張してきたとしましょう。これに対して、システム構築リーダーであるあなたは「今の予算ではできません」と突っぱねたとします。押し問答の末、利用部門は諦めてくれました。あなたとしては、プロジェクトが予算超過になることを防ぎ、スケジュール遅延のリスクも回避できました。
この交渉は、果たして勝った(成功した)といえるでしょうか。プロジェクトのリスクを回避できたのですから、一見、成功したように思えるかもしれません。しかし、それは表面的な見方です。交渉が成功したかどうかは「交渉相手がどのように思ったか」にかかっています。
いくらこちらの条件を相手にのんでもらうことができたとしても、相手が「負かされた」「押し切られた」と感じていたのでは、交渉は成功したとはいえません。交渉のゴールは、相手から「ありがとう」を引き出すことです。自分にとっても相手にとっても「良かった」と心から思える状態をつくり出すことが、交渉の真の目的なのです。
交渉は、勝負の場ではありません。交渉とは、お互いの主張を理解し、意見をぶつけ合いながら最善の解である「第三の解」を生み出すための“ 創造の場” だということを、まず認識する必要があります(図2)。
執筆=芝本 秀徳/プロセスデザインエージェント代表取締役
プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。
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