人生を輝かせる山登りのススメ(第28回)南アルプス大縦走(後編)

スポーツ

公開日:2017.10.20

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 2017年夏、私は南アルプスの主要な峰をたどる大縦走に挑みました。信仰の山・甲斐駒ヶ岳から仙丈ヶ岳に登り、仙塩尾根を歩いて国内第三位、二位の間ノ岳と北岳へ。そして、後半、間ノ岳から南へ、さらに南アルプスの深いエリアに入っていきました。後編では南アルプスを歩いて感じたことを中心につづってみたいと思います。(前編はこちら

悪沢岳を含む荒川三山や赤石岳(右奥)など、雄々しい南アルプス南部の山々

 山梨・静岡・長野の県境にある三峰岳(みぶたけ/2999m)は、富士川・天竜川・大井川という3つの水系の分水界(異なる水系の境界線を意味する地理用語)に当たります。この先は南アルプスの中でも奥まった所にあり、訪れる人の少ない山域です。ここからどんな世界が広がっているのだろうと、私たちはワクワク感いっぱいで足を踏み入れました。

 最も感動したのは、熊ノ平先にある安倍荒倉岳(2693m)でした。なぜなら、周辺の樹林がとてもキレイだったからです。針葉樹林の美しい北八ヶ岳にも勝るのではないかというほどの美林が迎えてくれました。太さのそろった立派なツガやシラビソが茂り、林床はコケのじゅうたんに覆われています。木々の間を抜けた日差しがスポットライトのようになって、コケとその上に芽生えた小さな植物たちを照らしていました。山々の壮大な景色もよいですが、このようなマクロ視点の美しい世界も心を打ちます。

 さらに進んで北荒川岳(2698m)では、まるで手入れの行き届いた庭園のようにダケカンバが群生する草原に出ました。急な斜面には群落をつくるタカネナデシコを発見しました。自然がつくり出す美しい風景が次々に目を楽しませてくれます。すれ違う登山者も少数で、まさに原始の自然に触れることができました。このような光景は、人が容易に近づけないほど、南アルプスの中央部があまりにも山深いからかもしれません。

ダケカンバが群生する草原。思わず歩くことを放り出して、お昼寝したくなりました

砂れきや岩場を行く登山者を、タカネナデシコの群落が励ましてくれます

山の上で地球の動きを感じる…

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執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

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