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公開日:2020.11.20
秋から冬にかけて、標高の高い山は雪に覆われて厳しさを増し、雪山登山をしない人は登山から足が遠のきがちになります。しかし、気候が穏やかな都市近郊の低山・里山は、秋冬が絶好のハイキングシーズンです。今回は身近な自然に親しむ里山ハイクの魅力をお伝えしましょう。
のどかな「ふるさと」のイメージがある里山。里山とはその名の通り、人の暮らし(里)の近くにある自然(山)のことです。家を建てるための木材や、炊事などに使う炭やまきを山から切り出したり、日当たりのいい斜面には畑、川の近くに水田を造ったりと、日本人は古くから自然をうまく利用して暮らしてきました。
里山から必要な恵みを必要なだけもらいつつ、木々や野生動物、昆虫など、さまざまな生物と共生する伝統的な生活様式を長い時間をかけて育んできたのです。このように、人の暮らしと共にある半自然環境のことを里山といいます。
里山ハイクの最大の魅力は牧歌的な景観の中に身を置けること。農作物が実った棚田や畑、ススキの草原、クヌギやコナラの二次林など、人の営みが感じられる里山でのハイキングは、手軽で親しみやすく、気持ちをほっとさせてくれます。
しかし、かつては国内のどこでも見られた里山の景観は、今では貴重なものとなりました。高度経済成長期に主要なエネルギー源が木炭から石油に変わったり、外国産木材の輸入や利用が増えたりするなど、人々の生活の変化や高齢化とともに、古代から長く続いてきた里山はその機能を失って徐々に消えつつあります。里山は私たちの暮らしだけでなく、そこにすむオオタカやサシバ、カヤネズミ、ニホンアカガエル、メダカなどさまざまな生き物の生息域でもあります。里山がなくなると、それらの生物が暮らしの場を失うことにもつながるのです。
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執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
【T】
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