人生を輝かせる山登りのススメ(第68回)冬の天候の特徴を知ろう

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公開日:2021.01.22

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 真っ白な雪に覆われ、特別な美しさのある冬山のシーズンになりました。スノーハイキング、バックカントリースキーなど、雪のある時期にしかできないアクティビティも楽しめます。しかし、気象の厳しい冬は、より天気の変化に注意しなければなりません。今回は冬の天候で失敗しないための基本知識を紹介しましょう。

冬の山を楽しむには、天候が安定した日に行くことが大切。写真は雪に覆われた上高地(長野県)

 

冬は決まった天気パターンを繰り返す

 冬の天気の変化には決まったパターンがあります。

「(1)冬型の気圧配置」
 ↓
「(2)移動性高気圧に覆われる」
 ↓
「(3)温帯低気圧が通過」
 ↓
「(1)冬型の気圧配置」

 このように、おおまかに3つの天気変化を、数日から10日ぐらいで繰り返す特徴があることを知っておきましょう。そのため、ほかの季節に比べると予測がしやすいシーズンだといえます。天気図も特徴的で覚えやすいので、この時期に天気図を見る練習をしてみるのもオススメです。まずは、冬に現れやすい典型的な3つの気象パターンを整理しておきましょう。

(1)冬型の気圧配置

 冬になると天気予報などで「冬型の気圧配置」という言葉をよく耳にするでしょう。冬季はロシア・シベリア付近で高気圧が発生し、千島列島付近に低気圧が停滞することが多く見られます。このように日本の西に高気圧があり、東に低気圧がある気圧配置を冬型(西高東低型)といいます。

 この状態のときは基本的に日本海側から太平洋側へ風が吹きます。湿り気を多く含む空気が日本海側の山にぶつかって上昇し、雲が発達。寒気が入って気温が下がると日本海側では大雪となります。一方、雪を降らせた風は水分を失って山を越え、太平洋側は乾いた風が吹きます。それで太平洋側の地域では晴天になりやすいのです。

 冬型の気圧配置のときは、北日本や日本海側の山は大雪、強風の大荒れとなり、行動するのは危険です。一方で太平洋側は晴れることが多いものの、気温が低く、風が強いので注意しましょう。寒気が強いときは、太平洋側でも標高の高い山や、日本海側からの風が通る場所では雪となります。

大陸に高気圧、北海道南東沖に低気圧がある冬型の気圧配置(2020年1月31日9時の天気図/気象庁HPより)

 

(2)移動性高気圧

 移動性高気圧とは、速いスピードで日本付近を通過していく高気圧のことです。高気圧に覆われると広範囲で天気が安定し、穏やかに晴れることが多いので絶好の登山日和となります。ただ、高気圧が通過した後は、すぐに低気圧がやってくるので、晴天は長く続きません。移動性高気圧で晴れるのは半日か、長くても1日程度なので、山へ行く日と高気圧に覆われるタイミングとを合わせることが重要となります。

 また、高気圧の東側では北寄りの風が吹くため日本海側の山で、西側では南寄りの風が吹く太平洋側の山で天候が崩れやすいことも知っておきましょう。

日本列島を広く高気圧が覆っている(2020年2月21日9時の天気図/気象庁HPより)

 

(3)温帯低気圧の通過

 温帯低気圧とは南北の気温差によって生じる低気圧のことで、前線を伴っているのが特徴です。低気圧は反時計回りに風が吹くので、低気圧の東側では南風、西側では北風となります。低気圧が発達しながら通過するとき、東側では南風によって気温が上昇して強風、雪崩のリスクが高まります。西側に入ると北風に変わって気温が一気に下がり、今度は暴風雪となることが多いので、山にいると大変危険です。このような気圧配置になるときは登山計画を見直しましょう。

日本海を発達した温帯低気圧(日本海低気圧)が通過している(2020年1月8日9時の天気図/気象庁HPより)

 

「二つ玉」「南岸」の低気圧にも注意しよう…

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執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。

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