ビジネスコミュニケーション手法の改善(第10回)
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公開日:2019.04.19
ふらりと登った山が期待以上のいい山だったとき、取って置きの掘り出し物を見つけたようにうれしい気持ちになります。3月中旬に登った熊本県の俵山(たわらやま)は、まさにそんな山でした。今回は旅先で出合ったステキな山について紹介したいと思います。
俵山は熊本市街から車で1時間ほどの所にあり、標高は1095mです。世界的な規模を誇る阿蘇カルデラ(東西18㎞、南北25㎞)の西側に位置しています。当初は熊本の代名詞ともなっている阿蘇山への登山を計画していたのですが、直前に噴火警戒レベルが引き上げられ、規制により登れなくなりました(2019年3月29日に警戒レベル1に引き下げられた)。
そこで思い付いたのが俵山です。北側の俵山展望所(俵山峠)から山頂までの往復であれば3時間程度なので、半日もあれば登れます。それでいて展望が素晴らしいと聞いていました。
朝、熊本空港近くのホテルを出発して、田園風景を眺めたり、山道を抜けたりしながら俵山登山口のある展望所へ向かいました。展望所からは阿蘇山が眺められますが、山の上へ行けばもっと素晴らしい景色が楽しめるだろうと期待しつつ、登山道を歩き始めます。
阿蘇は良質の和牛として知られる「あか牛」の産地ですが、俵山の麓は牛の放牧場として利用されています。山の斜面は見渡す限りの広大な草原で、登山道もその中に作られています。
背丈を超える“ススキ原”の中の一本道。春の風が野焼き前のススキを優しく揺らしていきます。振り返れば、登るごとに阿蘇外輪山(あそがいりんざん)の山々の眺めが広がり、あまりの心地よさに絵本の世界に引き込まれたかのような気分で歩きました。
途中で一部、植林帯を通りますが、それを抜けるとアセビなどの低木帯、その上部は笹原となって、さらに広大な景色を楽しめます。ゆっくり登っても登山口から2時間足らずで山頂に到着しました。
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執筆=小林 千穂
山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どもの頃に山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、フリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』など登山専門誌に多数寄稿するほか、『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)、『DVD登山ガイド穂高』(山と溪谷社)などの著書がある。現在は山梨で子育てに奮闘中。
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