手足がジンジンする、むずがゆい、痛い……!部分的に赤みを帯びているなら、それは「しもやけ」かもしれません。しもやけは、寒暖差による血行不良が引き起こす皮膚疾患のこと。日ごとに最高気温と最低気温が大きく変化する春先までは気を付けたいところです。オフィスワーカーには関係なさそうですが、室内外の温度差でも起こり得る皮膚疾患ですので、ぜひ一度チェックしてみてください。
今回お話を伺ったのは、野村皮膚科医院 院長の野村有子先生です。ムズムズするかゆみや痛みに邪魔されて集中力が途切れたり睡眠が妨げられたりしないように、しっかりしもやけ対策をしましょう。
なっても気付けない!?「しもやけ」とは
しもやけは手足に限ったことではなく、耳や鼻などでも発症することがあります。
「しもやけは、寒冷・加温刺激の繰り返しによって局所における血流が悪くなり、血管の回りの組織が炎症を起こして皮膚が赤くなったり、腫れたり、あるいは赤紫色の紅斑ができたりする疾患です。大人のしもやけは水虫など他の皮膚疾患と間違いやすく、場合によっては、気付かず悪化させる可能性もあります」と野村先生。
まずはかゆみや痛みを感じる場所を中心に温めたり、マッサージをしたりして、血行回復に努めましょう。改善しない場合は、早めに医療機関で相談してください。
体質・環境チェックをしてみましょう。…
野村先生に「しもやけになりやすい体質・環境」を伺い、チェックリストを作成しました。1つでもチェックが付いたら、しもやけの予防と対策に取り組みましょう。
<しもやけチェックリスト>
□2親等内の血縁にしもやけになりやすい人がいる
□普段、手足が冷たい
□冷たい風に当たると、耳たぶがジンジンと痛くなる
□手足の指の関節が赤紫色に腫れている
□お風呂などで温まると、手足の指先が痛がゆくなる
□屋外にいることが多い
□足に汗をかきやすい
こまめにケアして乗り切ろう、しもやけの予防と対策
最低気温が5℃以下で、1日の気温差が10℃以上ある日は特に注意が必要です。温度差が激しいと、血管の収縮回数が増えて血行が悪くなり、しもやけを引き起こしやすくなります。また、室内の密閉性が高く暖房設備が整っている現代では、室内と外気温との温度差もまた、しもやけになりやすい環境といえます。
今日から実践できる、しもやけ予防・対策を野村先生に教えていただきました。
| ●血行を良くする 手や足の指先まで血流を良くしておくことが、しもやけ対策の第一歩。体質や遺伝が少なからず影響しているといわれている冷え症や血行不良は、こまめなケアが大切です。厚着をしても体が温まらないという人は、この時期は特に、乾布摩擦などで手足を温めましょう。クリームを塗る場合は、血行促進効果が高いといわれるビタミンE入りのものがオススメです。昼間、クリームをこまめに塗ることが難しいという場合は、夜の就寝前に集中的にケアしましょう。 |
| ●温度差に気を付ける 脱ぎ着しやすい服装を心がけ、体の温度管理に努めましょう。帰宅後、すぐにお風呂に入ったり、ストーブに当たったりするのは逆効果。急な温度変化が生じないように、少しストレッチをしたり、手足の指先をマッサージしたりするなど、徐々に体を温める習慣を心がけましょう。 |
| ●肌を湿った状態で放置しない 雨や雪の日は特に注意が必要です。肌を湿った状態で放っておくと、皮膚の温度が下がってしもやけになりやすくなるからです。暖かい室内で汗をかき、そのまま寒い室外へ出たとき、またはお風呂上がりなども同様です。汗をかいた後は、足指の間や足裏をしっかり拭き取りましょう。手を洗った後に水気をしっかり拭き取ることも重要です。 |
気温が不安定な春先、しもやけ対策は体の不調予防にも役立ちます。建物の出入りや通勤などで、極力階段を使うように心がけるだけでも血行改善になるでしょう。しもやけになりにくい生活習慣を身に付けて、元気な新年度を迎えてください。