ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第70回)松山選手のマスターズ優勝に学ぶ成功のポイント

スポーツ

公開日:2021.05.31

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 2021年4月11日の日曜日、日本のゴルフ界にとって歴史的な出来事が起こりました。そうです、松山英樹選手のマスターズ優勝です。これは日本人初、いや、アジア人初の快挙であり、ゴルフ関係者は大いに沸き立ちました。各メディアもこぞって報じていたので、興奮を覚えて月曜日は仕事にならなかった人も多かったのではないでしょうか。

 松山選手の優勝の要因は、欧米人にも引けを取らないフィジカルの強さ、飛距離、メンタル力の向上、そして結束力の強いチーム力……など、さまざまなメディアで報じられました。これらはすべて的を射ていますし、私もその通りだと思います。そこで、松山選手のマスターズ優勝を振り返りながら、アマチュアゴルファーが上達のヒントにできるポイントかみ砕いてお伝えしたいと思います。

笑う門には福きたる

 私がこの大会で松山選手のプレーを見ていて最初に感じたことは、表情が以前と比べて明るくなったなということです。今までの印象では、喜びの感情を表に出さない一方で、ミスしたときのイライラや怒りの表情は露骨に表すのが松山選手でした。しかし今回は真逆で、ミスをしてもイラついたり周りに当たったりせず、プレー中は随所で笑顔が見られました。このことを、松山選手本人は帰国会見で次のように述べています。

 「前の週のバレロ・テキサス・オープンで初日は良かったのに、その後の3日間良くなかった。そのときに、何でこんなに怒っているんだろうと自分にあきれたところがありました。マスターズの週は日に日にスイングも良くなっていましたし、フィーリングが良くなったので、今週は怒らず、やってきたことを信じてプレーしようと思いました。(途中略)他の人に当たってしまったり、チームのみんなに迷惑をかけて、そのときに“何をやっているんだろう”とハッと気付いた。マスターズの前に気付けたのはよかったです」

 また、「表情のやわらかさは意識したのですか?」という記者の質問に対して、「心掛けてやっていたというのもありますし、状態が上がってきてミスを許せるという気持ちになったんじゃないかなと思います」と答えています。

 感情のままに怒っても何もよいことはないと気付き、「ミスを許せる気持ちになった」という心境は、彼の人間的成長を表しています。「ゴルフは人間力が試されるスポーツ」といわれますが、まさにその通り。今回の成果は、参加選手の中で誰よりもタフな気持ちで松山選手がプレーできたと言ってもいいかもしれません。そのモチベーションに大きく貢献したのが「笑顔でいたこと」ではないでしょうか。

 笑顔は、人のパフォーマンスを向上させます。表情筋を動かすことで脳が刺激を受けるとポジティブな感情が生まれ、前向きな気持ちをつくりやすくなるからです。何をやってもうまくいかないという経験は誰もが持っていると思いますが、そうしたときほど焦りや不安といった感情が表情や態度に出ているはず。うまくいくから笑顔になるのではなく、笑顔で取り組むから物事はうまくいくのです。これはビジネスもゴルフも、マスターズも社内コンペもまったく同じです。皆さんもぜひ、「笑顔のプレー」「ミスしても笑顔」を心掛け、自らのパフォーマンスを向上させましょう。

「感謝」を表すことが物事を成功に導く…

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執筆=小森 剛ゴルフハウス湘南

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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