ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」（第83回）“手ぶらでゴルフ”を実現する新たなサービスが登場

　「クラぶら」は3058円／月の定額で、提携する練習場かつ一度に可能な予約数が3回という制約があるものの、基本的には毎月無制限でクラブセットをレンタルできます。しかも、「初心者こそ最新の易しいクラブを使うべき」と、貸し出すクラブはPING（ピン）の最新クラブ「G Le2シリーズ」です。この「練習場プラン」利用者であれば、2178円の限定チケットを都度購入し、全国のゴルフ場（一部対象外）でも練習場と同じようにレンタルクラブを受け取れます。

　サブスク利用せず一度だけレンタルしたいというゴルファー向けには4950円の一般チケットも用意されています。限定チケット、一般チケットのいずれもゴルフ場までの往復配送料が含まれているため、この金額で全国どこのゴルフ場でも最新クラブが借りられるのは魅力的なサービスだと思います。

　サービスを運営する株式会社トリプルダブルの代表取締役社長、田村氏にこのサービスを始めた動機をお尋ねしたところ、「約20年間ゴルフの仕事をしているが、ゴルフ人口の減少に危機意識を感じている。ゴルファーを増やしたいがクラブは高く、マイクラブを所有しなければならないことが、その足かせとなっていると感じた。だから、それを何とかしたいと思った」と、話してくれました。

　田村氏は「とにかくゴルファーを増やしたい。未経験者がゴルフに触れ、ゴルフを始め、ゴルフが好きになり、マイクラブを所有する本格ゴルファーへと成長していくまでの過程において、選択肢の1つに『クラぶら』があればいい。『クラぶら』は女性限定のサービスだが、男性にも広く知っていただき、ゴルフを始めたいという奥さんや彼女に教えてあげてほしい」と熱く訴えてくれました。

　また、家族ぐるみでゴルフに親しむために、ジュニア向けサービスも拡充したいそうです。確かに、子どもはすぐに体が大きくなり、成長とともにジュニア用のクラブはサイズ的に合わなくなります。「親御さんの経済的負担を軽減させ、子どもがゴルフを続けられる環境づくりをお手伝いしたい」という田村氏の気持ちに、私も強く同意しました。

　中上級者は、自分にフィットするようにクラブのグリップやシャフトを替えたり、ロフト角を調整したりと、カスタマイズしたくなりますから、マイクラブでなくてはなりません。しかし、そこまではいかない健康的にゴルフを楽しみたいビギナーやライト層にとっては、クラブを所有しなくても必要なときだけ借りるというスタイルは財布にも優しく、続けやすいと思います。

　「月イチゴルファー」という言葉があるように、多くの一般ゴルファーがコースに出る頻度は、月1回程度ではないでしょうか。その程度なら必ずしもマイクラブを持つ必要がないのではないか。それよりも金銭的な負担が少なく、月1回を気楽に続けられるようにするほうが、ゴルフ人口の減少に歯止めをかけるために効果的なのではないかと思います。その意味で、レンタルクラブをサブスクサービスで提供する意義は大きいと感じます。

　私は田村氏に「クラぶら」の男性版も作ってほしいとお願いしました。男女を問わずこのサービスを利用できれば、例えば出張先で仕事の合間の時間にビジネスパーソンが“手ぶらでゴルフ”を楽しめるといった使い方も期待できます。田村氏は「確かにそのようなニーズはありそうだ。メーカーさんの協力が得られれば前向きに検討したい」と語ってくれました。

■株式会社トリプルダブルの概要
所在地：〒158-0083 東京都世田谷区奥沢6-1-1-211
代表取締役社長：田村一人 氏 （日本フットゴルフ協会 理事）
事業内容：主にスポーツの領域において企画、制作、出版物の翻訳、編集、イベント運営などを展開。一般社団法人日本フットゴルフ協会をサポート。女性限定レンタルクラブのサブスクサービス「クラぶら」を2021年5月からスタート