ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第88回)仕事の成果を上げるゴルフワーケーションのススメ

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公開日:2022.11.28

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 実は私、今この記事を自宅でもオフィスでもない、静岡県伊東市にある温泉旅館で書いています。私の主管するゴルフスクールが主催する温泉ゴルフ合宿に同行し、ゴルフプレーを終え、宿泊先である温泉旅館で執筆の仕事をしています。最近は、こうした旅先でも仕事をするという働き方、いわゆるワーケーションを認める企業が出始めているそうです。今回は、私の体験談も含めて、ゴルフと仕事を両立する「ゴルフワーケーション」をお伝えできればと思います。

 ワーケーションとは、「ワーク」(仕事)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地で休暇を取りながらテレワークする働き方をさします。テレワークを推進する一般社団法人日本テレワーク協会の定義を引用すると、ワーケーションはテレワークの一種で、「リゾートなどバケーションも楽しめる地域でテレワークを行うこと。ビジネスの前後に出張先などで休暇を楽しむブレジャーも含む」とあります。

 余談ですが、この定義にある「ブレジャー」とは、ビジネス(Business)とレジャー(Leisure)を足した、これまた造語です。ワーケーションとブレジャーの違いを詳しく知りたい方は、観光庁の特設ページをのぞいてみてください。ワーケーションやブレジャーを社内制度に導入する場合、注意すべきは労災の適用の有無や旅費の税務処理です。これについても観光庁のWEBサイトにQ&Aがありますから、参考にしてください。

ゴルフワーケーションの利点と活用法

 ゴルフワーケーションは、ゴルフ場などのゴルフ施設で行うワーケーションです。クラブハウス内、もしくはゴルフ場近郊のコワーキングスペースなどにサテライトオフィスを設置し、午前中はラウンド、昼食後はここでテレワークをする。もしくは午前と午後の行動を入れ替えるなど、ゴルフと仕事とをセットにしたさまざまな取り組みが各地で行われているようです。最近はこれを後押しする自治体もあり、まちづくりの1つとしても期待されている様子が見られます。

 私が体験して感じた最大の利点は、いつもと違う環境にいるため脳が刺激され、創造力を必要とする仕事がはかどりやすいという点です。ゴルフという適度な運動をしているために、心地よい疲労感がありつつも頭や体の余計な力みが抜け、それが創造力の向上につながっているように感じました。

 さらに、ワーケーションをゴルフ場で行うゴルフワーケーションの利点は、充実した施設を有効利用できる点にあるとも思います。日本のゴルフ場は“社交の場”として広がったため、コンペルームやレストラン、ロッカールームや入浴施設などの施設が充実しています。レストランでおいしいランチを楽しみ、ゴルフと仕事を終えた後は疲れたカラダを入浴施設で癒やす。仕事に行き詰まったら広々とした芝生を散歩するのもいいでしょう。これらは都市部のコワーキングスペースでは難しく、ゴルフワーケーションの大きな利点だと思います。

 これなら、オフィスワーカーも楽しみながら運動不足を解消でき、健康の維持増進にもつながるでしょう。こうした働き方を認める企業が増えていくのは、私も大賛成です。とはいえ、ゴルフワーケーションは良い点ばかりとはいえません。私が感じる大きな欠点は、非日常空間でリフレッシュできる反面、慣れない環境での仕事になるというマイナス面です。

 例えば椅子。私が今回滞在しているのは温泉旅館であるため、座卓と座椅子で仕事をしています。この環境で長時間座っていると正直、脚がしびれてきます。長時間のパソコン仕事なら、慣れた椅子とデスクの方が疲れにくく集中できるのかもしれません。また、注意すべきはネット環境です。私は滞在先で必ずパソコン仕事をするため、宿泊先を選ぶにあたりネット環境は必須ですが、通信速度まではなかなか調べられません。

 かつて沖縄の離島でゴルフツアーを行った際、データ量の大きいメールを受信するのに小一時間かかり、時間をロスした経験があります。ゴルフワーケーションに限らずワーケーション全般に関するデメリットかもしれませんが、旅行先の選定には、椅子やデスクといった備品やインターネットの通信環境など、“快適な環境”であるか否かをしっかりと見極める必要があると思います。

 しかし、ここに挙げたマイナス面は利用者側の意識でカバーできる範囲ともいえるでしょう。椅子の話では、健康のためには1時間に1回の休憩を挟んだほうがよく、その発想に立てば、長時間座り続けられない環境が悪いとはいえません。ネット環境についても、隔離して集中する仕事時間が得られると思えば、高速・大容量通信の環境がワーケーションの場所に絶対必要とはいえません。どうしても必要なら自らモバイル環境を持ち込めばよいのです。不便を逆手に仕事を楽しむという発想の転換を得られる意味でも、ワーケーションに取り組むメリットはあると感じています。

ゴルフワーケーションで従業員の活力を高めよう…

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執筆=小森 剛ゴルフハウス湘南

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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