オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2021.04.30
新型コロナウイルスの影響でマスクを着用した生活が長く続いています。多くの人が感染予防に有効であるとされるマスクを着用していますが、ニュースなどではマスクの着用を拒否したことによるトラブルも散見されます。このようなマスクの着用拒否については、どのように対応すればよいのか分からない経営者の方もいるのではないでしょうか。
今回は、マスクの着用拒否に対する対応に加えて、感染予防に関するガイドラインや「まん延防止等重点措置」などの企業が取るべき感染予防対策について見ていきたいと思います。
飲食店などの店舗を運営する企業では、顧客が入店するに当たりマスクの着用を義務付けていることも多いと思われます。では、顧客がマスクの着用を拒否した場合はどのように対応すればよいでしょうか。
この点、法令で特別の定めがある一定の業種を除き、企業がその顧客と契約を締結するかどうかは自由ですし、企業側に自己の管理する建物に立ち入るかどうかを決める管理権もありますので、マスクの着用を拒否する顧客の入店を拒否することは可能であると考えられます。
次に、自社の従業員がマスクの着用を拒否する場合はどのようにしたらよいでしょうか。まず、企業は雇用する労働者に対し、その業務遂行について必要な範囲で業務命令を発することができます。
企業は、労働者が生命身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする「安全配慮義務」を負っていますので、職場での他の従業員への感染拡大を防止するための措置を取る義務があります。このように企業は安全配慮義務を負っているため、労働者にマスクの着用を義務付けたとしても、それは必要かつ相当な範囲の業務命令であると考えられます。
では、労働者が業務命令に従わず、マスクの着用をかたくなに拒否する場合はどのようにすればよいでしょうか。このような場合は、就業規則に基づき、労働者に対する懲戒処分を検討することになります。
ただ、懲戒処分は一定の場合には権利乱用として無効になりますので、労働者がマスク着用を拒否したからといって直ちに懲戒処分をしてよいわけではありません。懲戒処分をするに当たっては、労働者がマスクの着用を拒否する理由に合理性があるかどうか、業務命令に従わない頻度・回数、企業の事業活動に及ぼした影響などのさまざまな事情を検討する必要があります。
執筆=近藤 亮
辻河綜合法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)
平成27年弁護士登録。主な著作として、『会社法実務Q&A』(ぎょうせい、共著)、『民事弁護ガイドブック(第2版)』(ぎょうせい:2019、共著)、『少数株主権等の理論と実務』(勁草書房:2019、共著)などがある。
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