オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2018.02.23
政府は、障がいのある人(身体障がい、知的障がい、精神障がいその他心身の機能に障がいのある人)が職業を通じ、誇りを持って社会に参加できるように、障がい者雇用対策を進めています。「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)を制定し、企業に対して、一定の比率(法定雇用率)以上の障がい者を雇用することを義務付けています。
法定雇用率を満たしていない企業からは納付金を徴収しており、逆に雇用義務数より多く障がい者を雇用する企業に対して調整金を支払ったり、障がい者を雇用するために必要な施設設備費などに助成したりしています。こうした結果、厚生労働省による2017年のデータでは、雇用されている障がい者数は約50万人(雇用義務ある企業のみの集計)に上り、14年連続で過去最高を更新しています。
2018年4月1日からは障害者雇用法の改正により、障がい者の法定雇用率の引き上げと、対象となる民間企業の規模が変更されます。本記事では、2018年4月の改正内容を紹介し、2016年4月の法改正で登場した「合理的配慮」という概念を用いて解説することで障がい者雇用におけるトラブル防止を考えます。
前述の通り、企業には、常時雇用する労働者の総数に応じて、障がいのある労働者を一定の割合以上雇うことが法的に義務付けられています。その割合(法定雇用率)は、2018年4月に2%から2.2%へ引き上げられます。割合が変更されたことで、障がい者を雇用しなければならない民間企業の範囲も従業員数が50人以上から45.5人以上へと引き下げられます。すなわち、常時雇用する従業員数が46人の企業であれば、1人以上の障がいのある労働者を雇用する義務が生じることになるのです。
さらに2021年4月には、法定雇用率が2.3%に引き上げられることも決まっています。そうなると、従業員数43.5人以上の企業は、障がい者雇用の義務が発生します。
実は、このような法定雇用率が定められていてもそれを達成している企業は、50%に過ぎません(2017年6月1日現在)。従業員50~100人未満の企業の達成率は46.5%、1000人以上企業でも、62%でした。未達成の企業は、早急に取り組む必要があります。
しかし、法令によって雇用義務があるからといって、何の対策も取らないまま障がいのある人を雇用すると、トラブルが発生する可能性があります。最悪の場合、せっかく雇用した人材が退職してしまうケースも考えられます。
執筆=向川 純平
弁護士(横浜法律事務所)
労働事件や障がい者の権利に関する問題に取り組むほか、さまざまな民事事件を取り扱っている。執筆分担した著書として、『詳説 障害者雇用促進法』(弘文堂)など。
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