弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第98回)10月1日施行の改正職業安定法、求人企業の注意点

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公開日:2022.11.21

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 2022年3月に職業安定法(以下:職安法)が改正され、10月1日から施行されています。

 今回の改正は、求職者(企業などに就職を求める労働者)が安心して求職活動を行えるようにするための環境の整備と、マッチング機能の質の向上などを目的としています。主な内容は①求人などに関する情報の的確な表示の義務化、②個人情報の取り扱いに関するルールの整備、③求人メディアなどに関する届出制の創設です。

 今回は、職安法について概観した上で、改正点のうち主に求人企業(労働者を求める企業)を対象とした①と②について解説します。

職業安定法とは?

 職安法は、職業紹介事業などが労働力の需要供給を調整する役割を有するため、その適正な運営を確保することにより、各人にその有する能力に見合った職業に就く機会を与えて、産業に必要な労働力の充足などを目的としています(1条参照)。「職業紹介」とは、求人および求職の申し込みを受け、求人企業と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいいます(4条1項)。

 また、今日では、求人情報サイトや求人情報誌などの求人メディアを活用して求人企業と求職者とのマッチングが行われるケースが増えています。求人メディアは、雇用関係の成立に向けて求人企業と求職者が直接やり取りするため、“あっせん”はないものの、職業紹介と同様、その適正な運用を確保する必要があります。

 そこで職安法は、求人メディアを「職業紹介」とは区別し、「募集情報等提供」として、職安法の規制を及ぼしています(4条6項。なお、今回の改正により、募集情報等提供事業者の定義が拡大されましたが、求人企業にはそれほど関係ないので説明は割愛します)。

 上記のような目的を達成するためには、求職者が自己の希望と適性に合った職業を選択できるよう、求人などに関する情報が適正に開示されなければなりません(労働条件などの明示)。

 また、個人情報保護の必要性の観点から、求人企業が求職者の個人情報を収集、使用、保管するに当たっては、業務の目的の達成に必要な範囲内で行い、かつ、その目的について求職者に明らかにする必要があります(個人情報の保護)。こうした点を踏まえ、今回、①求人等に関する情報の的確な表示の義務化、②個人情報の取り扱いに関するルールの整備について、改正が行われました。

求人などに関する情報の的確な表示の義務付け…

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執筆=上野 真裕

中野通り法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)・中小企業診断士。平成15年弁護士登録。小宮法律事務所(平成15年~平成19年)を経て、現在に至る。令和2年中小企業診断士登録。主な著作として、「退職金の減額・廃止をめぐって」「年金の減額・廃止をめぐって」(「判例にみる労務トラブル解決の方法と文例(第2版)」)(中央経済社)などがある。

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