弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第96回)2023年、不動産相続に影響する法改正続々施行②

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公開日:2022.09.21

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 2021年4月に成立・公布された「民法などの一部を改正する法律」(以下:「2021年改正法」)が、2023年4月1日以降順次施行されます(改正事項によって施行日が異なります)。2021年改正法は、従来の民法や不動産登記法などの基本的ルールを見直すもので、適用場面は広く、特に不動産関連の相続に与える影響はとても大きいものです。

 不動産関連の相続に影響する改正点のうち、前回は不動産の登記に関する改正の要点を説明しましたが、今回は遺産分割に関する改正点について、解説します。

遺産分割の基本事項

 相続人が複数いる場合、共同相続人の間で相続が開始します。この場合、被相続人の遺産は過渡的に共同相続人間の共有とされます(改正民法898条1項:遺産共有状態)。これを相続分に応じて分割し、各相続人の単独財産に帰するのが遺産分割です。

 「相続分」には、法律で定められた法定相続分(改正民法900条、901条)、および遺言で指定される指定相続分(改正民法902条)があります。しかし、共同相続人の中に、被相続人の財産を維持・増加させるような特別の寄与を行った者や、被相続人から財産の遺贈・贈与を受けた者がいる場合、こうした事情を考慮せずに上述の相続分に従った遺産分割を行うと、他の相続人との公平を害しかねません。そのため、相続人間の実質的な公平を図るべく、各相続人の個別事情(特別受益、寄与分)を考慮した具体的相続分の算定方法も規定されています(改正民法903条ないし904条の2)。

 遺産分割の方法としては、共同相続人間の協議(改正民法907条1項)によるほか、協議が調わないか協議ができない場合の家庭裁判所に対する遺産分割請求(改正民法907条2項本文)や、遺言による遺産分割方法の指定(改正民法908条1項)があります。

改正点―時的限界(具体的相続分による遺産分割)

 民法にはこれまで、具体的相続分に基づく遺産分割について期間制限が規定されていませんでした。そのため、長期間遺産分割がなされないことで、特別受益や寄与分に関する記憶が薄れるなどして遺産分割が困難になり、結局相続財産の管理・処分がなされないまま放置される場合も少なくありませんでした。

 また、遺産分割がなされないまま相続人の一人が死亡して次の相続(数次相続)が発生すると、相続人の増加に伴って相続財産の管理・処分はますます困難になり、所有者不明土地問題(前回参照)の要因となっていました。

 そこで、2021年改正法は、相続開始から一定期間が経過した場合に具体的相続分に関する規定の適用を原則として排除し、具体的相続分による分割を求める相続人に早期の遺産分割を促すとともに、その後は法定相続分や指定相続分に基づく、円滑かつ画一的な分割を可能としました。これは、遺産共有状態の解消を促進し、所有者不明土地の発生を予防しようとするものです。

2023年施行だが、それ以前の相続にも遡及適用…

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執筆=福原 竜一

虎ノ門カレッジ法律事務所 弁護士
2009年弁護士登録。企業法務及び相続法務を中心業務とする。主な著作として、「実務にすぐ役立つ改正債権法・相続法コンパクトガイド」(編著:2019年10月:ぎょうせい)がある。2019年8月よりWEBサイト「弁護士による食品・飲食業界のための法律相談」を開設し、食に関わる企業の支援に力を入れている。
https://food-houmu.jp/

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