オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2015.09.16
3人に1人が60歳以上となる高齢化社会を迎えました。労働力として高齢者を取り入れなければいけない企業も少なくないでしょう。
ところで、高齢の労働者について規定されている「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、「高年法」)」という法律をご存知でしょうか。その名の通り、高齢者の雇用をサポートするための法律で、企業は65歳までの安定した雇用を確保するための措置が求められています。また、定年制度を定める場合、60歳を下回ることはできません(同法8条)。
さらに、定年が65歳未満で定められている企業には、(1)定年の引き上げ、(2)定年制度の廃止、(3)継続雇用制度(定年後も引き続いて雇用する制度)の導入、という3つのうち1つの措置を取ることが求められています(高年法9条1項)。これが「高年齢者雇用確保措置」と呼ばれるものです。
今回は「高齢者雇用」をテーマに、高年齢者雇用確保措置を取る際に忘れてはいけないポイントを見ていきます。なお高年法では、45歳以上55歳未満を「中高年齢者」、55歳以上を「高年齢者」と定義していますが、本記事では主に高年齢者雇用確保措置を中心について取り上げるため、60歳~65歳の労働者を「高齢者」として呼ぶことにします。
企業にとって、高齢者を雇用するメリットは少なくありません。長年の経験に基づくノウハウ、知識の集積があります。これらのノウハウは、マニュアルや書籍などでは得難いものです。そのため、このような労働者が企業で後輩の指導に当たることは、非常に大きなメリットとなるでしょう。また、年齢的、経験的にもリーダーシップ能力を発揮しやすいこと、責任感が強いことなどもメリットといえるでしょう。
しかしその反面、年齢が裏目に出ることもあります。プライドが高く扱いにくい、時代の流れについていけない、加齢による生産性の低下があるにもかかわらず高賃金となってしまう、役職ポストが埋まり若手の成長が阻害される、などなど。思い当たるフシがある人も多いでしょう。
冒頭で挙げた高年齢者雇用確保措置を講じる場合、メリットの多い高齢の社員であれば、喜んで継続雇用したいところですが、問題はデメリットの多い高齢の社員です。本来なら60歳の定年で会社を去るはずが、さらに5年間も居ることになります。
とはいえ、「高年齢者雇用確保措置を導入しない」という選択は現実的ではありません。同措置を無視した結果、労働者から「65歳まで働きたくても働けなかった」として不法行為等を理由に損害賠償を請求されたり、行政による指導、勧告だけではなく、企業名が公表されることもあります。関連する助成金や年齢者雇用アドバイザー制度なども活用し、前向きに導入するほうが現実的です。
それでは高年齢者雇用確保措置の導入はどのように検討すればよいでしょうか。先に述べた3つの措置について、順番に見てみましょう。
定年制を導入している企業の場合、一番はじめに考えやすいのが「(1)定年の引き上げ」、つまり定年を65歳まで引き上げるという方法です。…
本間 由也
こだまや法律事務所 代表弁護士 /税務調査士
1982年生まれ。2004年明治学院大学法学部法律学科卒業、2007年明治学院大学法科大学院法務職研究科法務専攻卒業。翌2008年に司法試験合格。紀尾井町法律事務所での勤務を経て、2011年1月法テラス西郷法律事務所初代所長に就任。2014年2月こだまや法律事務所を東京都国分寺市に開所、現在に至る。
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