アスリートに学ぶビジネス成功への軌跡(第10回)不死鳥ウッズが教える自己の強みを知る大切さ

人材活用

2019.04.25

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 1997年、米国ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCで開催されたマスターズ・トーナメントの最終日。18番ホールのグリーンへと向かうタイガー・ウッズは、時折真剣な表情を崩しながら、ギャラリーの歓声に白い歯を見せて応えた。少年の面影を残したその笑顔には、バラ色のすりガラスを通して人生を見ているかのような幸福がにじみ出ていた。

 そう、タイガー・ウッズは、このトーナメントで2位に12打差をつけて圧勝。プロに転向して1年もたたないうちに、メジャートーナメントの頂点にかけ上がったのだった。

 それから22年。同じ赤いシャツと黒のパンツという姿でオーガスタ18番ホールのグリーンに向かうタイガー・ウッズの表情に笑みはない。まるで修道僧のような面持ちでグリーンへと続く緩い坂を上っていく。空から息子を見守る父アール・ウッズが励ます声を心の中で聞いているのかもしれない。ふと、そんな感傷にとらわれた。

天才ゴルフ少年を待っていた栄光と挫折

 『タイガー・ウッズ物語(S・A・クレーマー著/小林浩子訳)』によると、父アールが息子のゴルフの才能を確信し、息子に見せるためにガレージでゴルフのスイングの練習をし始めたのは、タイガーがまだ生後6カ月(!)の頃。生後10カ月(!)になると、まだ歩く前のタイガーは父の前で短く切ったパターを手にしてスイングを始めたという。その時のことをアールは「タイガーの最初のスイングは完ぺきに私のスイングをまねたものだった」と語っている。

 そうして息子をゴルフ界の王者に育て上げた父アールもすでに天国に召されている。2007年ごろからは膝や腰の故障に悩まされ、その後女性スキャンダルを起こして離婚。さらに薬物摂取または飲酒状態で車を運転した疑いで逮捕されるといったプライベートの問題で、一度は上り詰めた王者の座から転げ落ちるように去り、長く低迷の時期を過ごしてきたことは広く知られるところだ。

 「タイガー・ウッズはもう終わりだ」。そんな周囲の声が彼の耳にも届いたことだろう。何度も引退を考えたという。それでも諦めずにゴルフを続けた。その何度も立ち上がろうとする姿勢から呼び起こされたのが、「コア・コンピタンス(Core competence)」という言葉だ。

他社にはない能力を再確認し、それを戦略的に活用する…

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執筆=藤本 信治(オフィス・グレン)

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