アスリートに学ぶビジネス成功への軌跡(第32回)射撃競技の日本人唯一の金メダリスト 蒲池猛夫

人材活用

2021.02.25

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 射撃競技は、第1回アテネ大会から実施されているオリンピックでも伝統ある競技だ。1968年10月に開催されたメキシコシティオリンピックでもライフル射撃やクレー射撃をはじめ7種目が行われた。

 中でも金メダル獲得が確実視され、一番の注目を集めていたのがライフル射撃男子ラピッドファイアーピストルに出場した蒲池猛夫さんだ。アジア大会優勝などの実績もあり、また射撃に関する天性の才能は広く海外でも認められていた。

 本番前の練習にも各国の選手が蒲池さんの動向を探ろうと大挙して集まったという。その場面で、蒲池さんは実に599点を記録し、その実力が前評判どおりであることを証明してみせたのだ。

4度目の出場で悲願の金メダルを獲得

 ラピッドファイアーピストルは、22口径の競技銃を用い、25メートル先に75センチ間隔で設置された5つの標的に向けて、8秒、6秒、4秒の各時間内に速射射撃を行い、着弾点の精度を競う。それを1日に2回、2日間で行う。

 合計で射撃回数は60回。標的の中心にある半径10センチの円内に着弾すれば10点。だから満点は600点となる。蒲池さんの練習時における599点がいかに驚異的な得点だったかが分かるだろう。

 しかし競技本番で、蒲池さんはまさかの不調に終わり、12位の成績に沈んだ。その後も日本が不参加を決めたモスクワ大会を含め、5大会連続でオリンピック代表に選出された蒲池さんが、その実力にふさわしい栄冠をつかんだのはメキシコ大会から16年後のロサンゼルスオリンピックである。蒲池さんは、595点をマークし、日本射撃史上初の金メダリストとなった。

 当時48歳。孫もいる本当のおじいちゃんになっていた蒲池さんは年齢による肉体的な衰えに加えて、強度の乱視により、すべてのものが二重三重にかすんで見えるような状況だった。またロサンゼルスオリンピックの3年前に草刈り作業中の事故により右手に大けがを負い、競技銃を握る右手で普通に曲がるのは親指だけだったという。

線香の赤い点を見つめて集中力を高める…

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執筆=藤本 信治(オフィス・グレン)

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