弁護士が語る!経営者が知っておきたい法律の話(第60回)すべての会社に求められる反社会的勢力対策

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2019.09.30

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 最近、大きな話題になった芸能事務所の騒動。そもそもの発端は所属するタレントが反社会的勢力(反社)の主催するパーティーに出席したことでした。そこから発展したトラブルは、ついには経営陣の進退問題にまでエスカレートしたことは記憶に新しいところです。

 反社会的勢力に関連したリスクは、こうした芸能事務所に限ったことではありません。一般の企業でも気を付けなければならない経営リスクの1つです。今回は反社会的勢力問題について解説します。

すぐに分かる暴力団だけが反社会的勢力ではない

 まずは、反社会的勢力とは何を意味するのか、説明できますか。いわゆる暴力団が含まれるのは容易に想像できるでしょう。さらに、暴力団は企業の体裁を装うこともあります(暴力団関係企業、フロント企業などといわれます)。これらの企業は、文字通り、企業を装っているだけですから、もちろん反社会的勢力の中に含まれます。

 中には自分たちが暴力団ではないと宣言しているような集団がありますが、実際は暴力団と同様のことをしている場合、これらの集団を反社会的勢力から外すということが適切でないことは明らかです。さらに暴力団ではないものの、暴力団を使うような人もいます(これらの人を暴力団関係者と呼びます)。こうした存在も反社会的勢力に含める方が妥当でしょう。

 反社会的勢力という言葉の定義として、以上でお話したような主体の属性から機能的に考える方法を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、反社会的勢力を定義する場合、主体の属性からではなく、暴力的な要素を見せて不当な要求をするような場合を定義に含ませる方法もあります(ただし、例えばお金を返さない人に対して、多少大きな声を上げて返済を迫るような場合もあり、これらすべてを反社会的勢力としてしまうのは危険です)。

 最近は、すぐに反社会的勢力とは分からないように活動しているケースも多々あります。冒頭の芸能事務所のケースも、そうした背景があったようです。それだけに反社会的勢力リスクを回避するのは非常に難しくなっています。

反社会的勢力とはあらゆる取引をしない覚悟が必要に!

 それでは一般企業が反社会的勢力と接触する可能性が生じるのはどんなときでしょうか。典型例として、繁華街などで店舗営業をしている企業が、反社会的勢力から、いわゆる「みかじめ料」を求められるケースがあります。また、借金を返済してくれなかったり、売掛金を払ってくれなかったりする取引先がある企業に対して「任せてくれれば、債務者から債権を回収してやる」といった甘い言葉をささやく反社会的勢力も見られます。

 もちろん、不動産を貸す、車を売る、金融機関口座をつくるといった一般的なビジネスの相手先が反社会的勢力であるケースも考えられます。こうした一般的な取引であっても、相手が反社会的勢力であれば、社会的に指弾されてしまいます。

 冒頭の芸能事務所のトラブルでも、タレントは通常の業務のようにイベントに参加したのですが、主催者が反社会的勢力であり、そこからギャラをもらっていたことから、厳しく社会的な責任を問われているのです。つまり基本的には、反社会的勢力とはすべての取引を行わないことが企業には求められています。

 それでは、実際に反社会的勢力による被害をどのように防止するのがいいのでしょうか。参考になるのは政府の犯罪対策閣僚会議が、平成19年にまとめた「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」です。その内容を参考に防止策を説明しましょう。

 同指針では、次の5つを基本原則として挙げています。
○ 組織としての対応
○ 外部専門機関との連携
○ 取引を含めた一切の関係遮断
○ 有事における民事と刑事の法的対応
○ 裏取引や資金提供の禁止

トップの宣言がなにより大切…

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執筆=入江 源太

麻布国際法律事務所 代表弁護士
平成10年検察官任官。カリフォルニア州立大学デービス校LLM、隼あすか法律事務所パートナー、パイオニア株式会社インハウス弁護士等を経て現在に至る。主な著作として、『カルテル規制とリニエンシー』(三協法規出版:2014年9月、編著)、『検証判例会社法』(財経詳報社:2017年11月)などがある。

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