税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第104回)定額減税、ここを再確認

業務課題 経営全般 資金・経費

公開日:2024.07.03

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 デフレ脱却のための一時的な措置として、令和6年度税制改正により所得税および個人住民税の定額減税が表1の通り実施されています。

 

●表1 令和6年度税制改正による所得税および個人住民税の定額減税の内容

減税額所得税本人:3万円
同一生計配偶者または扶養親族:1人につき3万円
個人住民税本人:1万円
控除対象配偶者および扶養親族:1人につき1万円
所得制限合計所得金額が1805万円以下
(給与所得の場合は、給与収入2000万円以下)

 

 給与所得者に対する所得税の定額減税は、2024年6月1日以降に支払う給与や賞与に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する「月次減税事務」と、年末調整の際に年末調整時点の定額減税額を控除する「年末調整事務」の二段階で行われます。

 6月以降に会社が対応すべき最初の減税事務は「月次減税事務」となりますので、今回は「月次減税事務」について、給与担当者が気を付けたい点を再確認します。

 月次減税では、2024年6月1日以降に支払う給与等に対する源泉徴収税額から月次減税額を控除し、控除しきれない部分の金額があれば、それ以降に支払う給与等の源泉徴収税額から順次控除していきます(図1参照)。

●図1 月次減税額の控除方法

出所:国税庁「給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた」

 「月次減税事務」を的確に行うためには、「控除対象者の把握」「減税額の把握」「給与明細書に定額減税の記載」「各人別控除事績簿の活用」がポイントとなります。それぞれ解説します。

(1)控除対象者の把握
 控除対象者は、2024年6月1日現在、給与支払者のもとで勤務している者のうち、源泉徴収税額表の甲欄が適用される居住者(以下「基準日在職者」という)です。

 以下の者は、この基準日在職者に当たらないため、定額減税の対象外となります。

①源泉徴収税額表の乙欄や丙欄が適用される者
②2024年6月2日以後に入社した者 →年末調整で定額減税を実施
③2024年5月31日以前に退職した者
④2024年5月31日時点で出国して非居住者になった者

 社員の中には、明らかに合計所得金額が1805万円を超えるので定額減税の適用を受けられず、月々の給与等から月次減税額を控除しないでほしいと申し出をする人がいるかもしれません。

 これについては、合計所得金額が1805万円を超えると見込まれるかどうかにかかわらず、控除対象者は一律に減税額の控除を受けることとされています。つまり、控除対象者自身は、定額減税の適用を受けるか受けないかを選択できません。

月次減税額は同一生計配偶者と扶養家族で決まる…

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