税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第73回)海外取引において税務署が重要視する3つの調書

経営全般 資金・経費

2022.06.10

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 海外取引による課税逃れを封じるため、近年、国税当局は日本人が海外に保有する国外財産に対する監視体制を強化している。そのためのツールとして代表的なものが「法定調書」と呼ばれるものである。

 「法定調書」とは所得税法などの規定により税務署への提出が義務付けられている資料をいい、現在、60種類の法定調書がある。これらの調書の中で、国税当局が国外財産の監視に有効であるとして重要視しているものが
・国外財産調書
・財産債務調書
・国外送金等調書
の3種類だ。

 近年では、この調書制度が頻繁に見直されており、多額の財産を保有する者は税制改正の動向に注意する必要がある。

国外財産調書

 5000万円を超える国外財産を保有する者は、翌年3月15日までに当該国外財産の種類、数量および価額等を記載した「国外財産調書」を提出しなければならない。

 この国外財産調書の提出義務は、所得金額にかかわらず、5000万円を超える国外財産を保有するかどうかで判断される。従って、確定申告を必要としない者であっても、国外財産が5000万円を超えている場合、国外財産調書を提出しなければならない点には注意が必要である。

 国外財産調書の提出件数は毎年伸び続けている。2020年分は1万1331件で、制度導入当時の2倍以上だ。しかし、これでも提出者は一部にとどまっており、本来の提出義務者はもっと多いのではないかともいわれている。

 これまでに国外財産調書を正しく提出していなかった者が、新規に提出すると過去の申告漏れが発覚することを恐れ、提出をちゅうちょしている者が依然として多いのではないかと思われる。

 国外財産調書には、適正な提出を促すためのインセンティブ措置として、加算税の軽減・加重措置が設けられている。

 調書に記載された国外財産について申告漏れがあった場合には、加算税が5%軽減されるのに対し、調書が未提出だったり、提出された調書に記載されていなかったりする国外財産について申告漏れがあった場合には、加算税が5%上乗せされる。

 加算税が加重されたケースは、2020年分で307件、申告漏れ金額では約88億円と、依然として高水準を維持している。

 さらに2020年度の税制改正で課税を強化する方向での見直しが行われた。国外財産を有する者が、税務当局から国外財産調書に記載すべき国外財産に関する資料(取引明細などのフロー情報など)を指定された期限(60日を超えない範囲)までに提出をしなかった場合には、加算税の軽減措置は適用されず、また加重措置については、加算する割合を5%→10%とする特例が創設された。

 このように、国外財産に対する取り締まりは年々強化されているため、提出義務を確認し申告漏れがないように注意したい。

財産債務調書…

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