税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第37回)消費税引き上げ後も8%が適用される経過措置とは

資金・経費

公開日:2019.05.29

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 2019年10月1日から消費税および地方消費税の税率が10%に引き上げられ、同時に軽減税率制度も施行される予定です。施行後の取引には、原則として10%の新税率が適用されますが、一定の条件を満たした取引は、8%の税率が適用される経過措置があります。今回は、主な経過措置について解説します。

電車運賃は前売りで購入すれば節税に

 事業者が、旅客運賃、映画・演劇を催す場所などへの入場料金を2014年4月1日から税率引き上げ前日(2019年9月30日)までの間に領収している場合、8%の税率が適用されます。

 分かりやすくいえば、電車などの交通機関の旅客運賃、映画館・スポーツ観戦などの前売り券(チケットレスの場合を含みます)などの取引です。前売り券の料金を支払った日が、9月30日までなら税率は8%になります。その前売り券を10月1日以降に利用した場合でも、税率は8%のままです。

 現時点で2019年10月1日以降に交通機関を利用することが分かっているなら、9月30日までに購入しておくことが節税につながります。なお適用される取引(旅客運賃等の税率に関する経過措置)の詳細については、国税庁の資料を参照ください。

工事・製造は請負契約日で経過措置の適用が決まる

 工事・製造に関しては、事業者が請負契約を2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した場合、引き渡しが税率引き上げ後であっても、8%の税率が適用されます。

 事業者がこの経過措置の適用を受ける取引を行った場合には、当該取引がこの経過措置の適用を受けるものであることを相手方に対して書面で通知する必要があります。契約書などの書類の作成がない場合でも、契約の締結時期や工事内容などを明らかにしておけば、この経過措置の適用を受けることができます。

 2019年3月31日以後に当該請負契約の金額が増加した場合、増額部分は経過措置の適用は受けることはできないので注意が必要です。例えば、2019年3月31日以前に100万円で請負契約をした工事に関して、2019年3月31日以後、請負契約を150万円に変更した場合、増額された50万円は経過措置の適用外になります。

 すでに2019年3月31日は過ぎてはいますが、2019年10月1日以降に引き渡しとなる工事・製造の取引では経過措置の影響を確認しておきましょう。

店舗や事務所を賃借、事務機器や車両のリースに注意 …

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執筆=並木 一真

税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・M&Aエキスパート。会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。
https://namiki-kaikei.tkcnf.com/

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