税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第47回)第三者承継支援総合パッケージで廃業を回避

資金・経費

公開日:2020.03.09

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 企業の信用調査などを手掛ける東京商工リサーチによると、2019年、企業倒産と休廃業・解散件数の合計は5万1731件でした。国内全企業約358万9000社の1.4%に当たります。そのうち休廃業企業に絞って、代表者の年齢を見ると4割は70代。60代以上というくくりでは8割を超えます。

 中小企業庁の第1回「事業引継ぎガイドライン」改訂検討会で配布された資料では2025年、中小企業経営者で70歳(平均引退年齢)を超える人は約245万人になると予測されていますが、約半数の127万人(国内全企業の1/3)は後継者が未定です。経済産業省・中小企業庁の試算では、このままだと2025年ごろ、直近10年間の累計で約650万人の雇用とGDP約22兆円が失われ、日本経済の損失は甚大になるようです。

 こうした事態を招かないためには、中小企業の事業承継の円滑化が日本経済の大きな課題です。事業承継の時期を迎えている中小企業経営者にとっては大きな決断が必要です。中小企業の事業承継といえば、これまで、親族内で検討するケースが主流でした。親族内に適当な人材がいない場合、社員の中から後継者を見つける場合もありました。しかし、それでも後継者が見つからない企業の事業承継のために、経済産業省の外局・中小企業庁が取り組んでいるのが、第三者承継支援総合パッケージです。

 第三者承継支援総合パッケージとは、親族以外の“第三者”への事業承継をスムーズに行うためのさまざまな支援策をまとめたものです。第三者への事業承継は、見方を変えれば中小企業に対するM&A(合併・買収の対象は会社組織自体だけでなく、企業内事業の場合も含む)ということになります。

経営者の売却を促すためのルール整備や官民連携

 同パッケージは10年間に集中実施され、黒字廃業の可能性がある60万件の第三者承継の実現をめざし、技術・雇用など中小企業の経営資源を次世代の意欲ある経営者に承継・集約させていく構想です。

 中小企業庁と民間委員による検討会を重ねながら事業引継ぎガイドラインを改訂し、経営者が適正な仲介業者・手数料水準を見極めるための指針を整備、第三者承継を経営者の身近な選択肢になるように手直しします。サポートする事業引継ぎ支援センター(中小機構)では事業承継の無料相談体制が強化され、事業引継ぎポータルサイト、事業承継支援の取り組みや事例を確認できます。2014年から始まった後継者人材バンク(今後全国の同センターに設置予定)という後継者不在の小規模事業者と起業家をマッチングするためのデータバンクもあります。

マッチング時の経営者保証解除や登録事業者数増加への取り組みについて…

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執筆=並木 一真

税理士、1級ファイナンシャルプランナー技能士、相続診断士、事業承継・M&Aエキスパート。会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。
https://namiki-kaikei.tkcnf.com/

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