税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第52回)中小企業の経営改善には資本性ローン活用を

資金・経費

公開日:2020.08.24

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 中小企業経営者向けの資金調達方法の1つに、資本性ローン(資本性借入金)というものがあります。日本政府は、経営が悪化した中小企業に対して、資本性を有する資金を提供する仕組みの導入を後押ししており、資本性ローンもその手段の1つです。例えば運転資金を借りたいが、それが原因で財務内容が悪化するのは避けたい場合に活用できる可能性もあります。資本性ローンは、既存の「借入金」を「資本性ローン」に組み替えることで、資金繰りの解消や、新規融資が受けやすくなるといった利点があります。

 今回は、中小企業経営者にぜひ知っておいてほしい、資本性ローンの概要とそのメリットについて解説します。

資本性ローンの特徴

 資本性ローンとは、負債でありながら資本性の高いローンのことです。金融機関が企業の財務状況や将来の収益見込みを判断する際、資本性ローンは負債ではなく、その企業の自己資本と見なします。また資本性ローンは劣後ローンと同様に元利金の返済順位が、ほかの債務よりも後になるように設定されるのが一般的です。ですから、借入金を複数の金融機関から受けている場合、「ほかの金融機関の一般的な借り入れから返済していき、資本性ローンはその後に返済すればよい」ことになります。

 もちろん、企業会計上では、資本性ローンは負債に当たりますので、企業の自己資本比率は悪化します。しかし資本性ローンは、前述した通り返済順位がほかの債務よりも後になるため、株式の性質に限りなく近くなります。通常、金融機関から融資を受けると赤字でも返済が必要なので、資金繰りが苦しくなりますが、資本性ローンは金融機関から自己資本として見なされますので、実質的には自己資本比率が向上するケースも見られます。これにより金融機関からの追加融資も受けやすくなるというメリットもあります。

 仮に企業が倒産した場合は、残った財産を債権者に分配するのが一般的ですが、分配する優先順位が決まっており、優先順位が低く設定されている資本性ローンは、返済される見込みがほとんどありません。つまり、債務超過で倒産すると資本性ローンの返済が不要となるケースがあります。

主な資本性ローンとメリット…

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執筆=河野 雅人

公認会計士・税理士
新宿区に事務所を構えている。主に中小企業、個人事業主を会計、税務の面から支援中。

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