税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第95回)ボーナスで節税。ただしここに注意

業務課題 経営全般 資金・経費

公開日:2023.12.22

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 日本経済新聞社がまとめた2023年夏のボーナス調査によれば、全産業の平均支給額は前年比2.60%増の89万4285円となり、集計以来、過去最高となりました。新型コロナウイルスの打撃を受けた企業の業績が回復し、賃上げムードも影響したようです。

 社員へのボーナスは賞与として「経費」に計上され、法人税を計算する上でも損金となるため、企業の節税につながります。業績に応じてボーナスを支給すれば社員のモチベーションが向上し、さらなる飛躍も期待できるため、会社の経営上、ボーナスをうまく活用したいものです。

 今回は、ボーナスを支給する際の税金面の留意点やキャッシュフローに与える影響などについて考えてみましょう。

役員への賞与は原則損金にならない

 社員に支給する賞与は損金になりますが、取締役などの役員に支給する賞与は原則として損金にはなりません。したがって、「当期は予想以上の利益が出たから役員に対してボーナスを支給して法人税を節税しよう」という対策は使えません。

 ただし、役員に支給する賞与を損金に算入する方法もあります。それは「事前確定届出給与」という制度を利用するやり方です。「事前確定届出給与」として役員賞与を損金算入するためには、役員賞与を支給する時期や支給金額をあらかじめ株主総会で定め、税務署に届け出なければなりません。そして届け出通りに支給した場合に限り、損金となります。

 このように、事前確定届出給与は、前もって役員賞与の支給額を決めなければならないため、予想以上の利益が出たときの節税策としては使えないでしょう。

決算賞与をうまく活用しよう

 夏と冬に支給する通常の賞与の他に、決算賞与を活用する方法があります。決算賞与とは、その年度の業績が良好だった場合に、業績に基づいて臨時に支給する賞与です。業績が好調で法人税が当初の見込みを大幅に上回りそうな場合、決算直前にできる節税方法の1つがこの決算賞与です。メリットとしては「節税につながる」ことに加え、「社員のモチベーションが向上する」などが挙げられるでしょう。

 決算賞与は、その年度内に支払えば問題なく損金となります。年度内に支払いが間に合わず、翌期にずれ込む場合は、「支給するすべての社員に支給額を年度内に通知すること」「決算日の翌日から1カ月以内に支払うこと」「当期に損金経理をすること」という3つの要件を満たした場合に限り、当期の損金となります。このように支給が翌期となる場合にはハードルが上がるため、極力その年度内の支給が望ましいと思われます。

キャッシュフローに与える影響も重要…

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